2016年6月号記事
愛してるから、黙ってられない。
女性が損をしないための3つの政策
Part 3
満員電車に狭い家……
"肩身の狭い"女性の生活を変える
「都会で快適な生活は送れない」。
満員電車に、手狭な部屋、ストレスフルな社会に
"酸欠"状態の女性は数多い。
女性がもっと自由な生活を送るにはどうすればいいか。
(編集部 山本慧)
contents
Filipe Frazao / Shutterstock.com
女性の電車痛勤は人権問題
女性の人権をいとも簡単に踏みにじっているのに、見過ごされている問題がある。満員電車だ。都内に住む30代女性は、ラッシュ時に身の危険を感じた。
いつもの朝。車両に足早に乗り込み、マイスペースを確保。触られたくない部分をカバンで守り、"自衛"を完了させた。いつもはこれで満員電車を乗り切ってきたが、あの日だけは違った。
乗り込む人波が力となって、座席の横に立つ女性の体を圧迫した。「くっ……苦しい」。なぜかと思って体を見ると、カバンの中の弁当箱が、あばら骨を押しているのだ。
「これはヤバイ……。骨、折れるかも」。押し返そうとするが、筋力のない女性はただ耐えるしかない。数駅先で悪夢は去ったが、その時こう決めた。
「もう満員電車には乗らない」
それ以来、女性は出勤時間を7時に早め、エネルギーのロスを防止した。満員電車は女性の働き方を変える"威力"がある。
20代女性は、終電の人混みにより、見知らぬ男性の胸に顔を押し付けられた。その時、
「ドックン、ドックン」
男性の心臓の音が聞こえた。これ以上の密着感はない。
別の30代女性は、中年男性との距離が近いあまりに、その男性の髪の毛が口に入ってきたこともあるという。
混雑する電車の中では、女性の人権は保障されない。
Lodimup / Shutterstock.com
満員電車は違法?
イギリスの心理学者によると、満員電車のストレスは、臨戦態勢に入った戦闘機のパイロットよりも高く、ジェットコースターが落下する直前の2倍以上という。
そもそも法律には、「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限リ乗車スルコトヲ得」(鉄道営業法)とあり、 乗客は、飛行機と同様に座る権利がある。 満員電車は違法では?
国土交通省に問い合わせると、「鉄道会社が無理やり旅客を乗せているわけではないので、違法ではない」(鉄道サービス政策室)との認識で、おとがめなし。いくら罰則がないとはいえ、他人の肩とぶつからない権利ぐらいはあるはずだ。
女性の人権を守る車両を
人間を人間扱いしない満員電車を変えるには、新しい路線、または車両を増やす必要がある。 費用はかかるだろうが、社会的責任として解決すべきだ。
あるいは、発想を変え、車両やホームを2階建てにし、輸送量を倍増させる(上図)。そうすれば、電車の混雑は半減し、他人とぶつかることはなくなる。女性の敵である痴漢も激減するはずだ。鉄道会社にとっても、既存の設備を改修すれば、広大な土地を買って、新たに路線を敷かなくても済む。
もう我慢しなくていい。安心して乗れる電車が、働く女性を元気にさせる。
女性に冷たい電車事情
13.7%の女性 が、過去1年で 痴漢の被害 に
電車通勤者の33% が、 電車内のベビーカーは「迷惑」 と回答
(上)警察庁「電車内の痴漢撲滅に向けた取組みに関する報告書」。(下)2014年6月、マイナビニュース会員対象のアンケート調査。
電車を2階建てにするメリット
- 乗客の輸送量が倍増する
- 新聞や本が読める
- ベビーカーを乗せられる
- 痴漢は激減
- 痴漢冤罪も減る
電車を2階建てにすれば、混雑は減り、子連れや年配者も利用しやすくなる。写真はイメージ。
高い家賃なのに狭い家に苦しむ女性たち
税金が家を狭くさせる
建築家 馬場正尊さんに聞く!