鈴木真実哉
プロフィール
(すずきまみや)1954年生まれ。早稲田大学大学院を経て、現在、聖学院大学政治経済学部教授。金融論、シュンペーター、ハイエク等を研究し、「理念経済学」の確立を目指す。著書に『格差社会で日本は勝つ』(幸福の科学出版)、共著に『カオスの中の貨幣理論』(雄松堂出版)『金融入門』(昭和堂)などがある。
自民党が「同一労働・同一賃金」の実現に向け、政府に提出する中間提言案を明らかにしました。最終的な目標は、ヨーロッパ並みに「非正規社員の賃金を、正規社員の7~9割に引き上げること」というものですが、これは果たしてうまくいくのでしょうか。
「同一労働・同一賃金」の歴史や、導入のねらいについて、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)経営成功学部ディーンの鈴木真実哉氏に解説してもらいました。今回は、全2回の後編です。
――「同一労働・同一賃金」のような議論が出てきたのは、派遣社員の不公平感についての是正の部分が大きいかもしれませんが、もともとのルーツはなんでしょうか?
鈴木真実哉氏(以下、鈴木): 国連の専門機関である国際労働機関(ILO)や世界人権宣言で「同一労働・同一賃金」を推奨しています。ここがルーツでしょう。
ILO憲章の前文では「同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認」という言葉があります。「世界人権宣言」第23条には「すべて人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する」とあります。
これらは、経済・経営のことをまったく理解していない人たちがつくった内容といえます。