米朝会談、どうなれば成功? どうなれば失敗?――2つの米ソ会談に学ぶ

米朝会談、どうなれば成功? どうなれば失敗?――2つの米ソ会談に学ぶ

Andrew Cline / Shutterstock.com

 

《本記事のポイント》

  • ルーズベルトは対ソ交渉で"合意"を得たが、冷戦を生んだ
  • レーガンは対ソ交渉で"決裂"したが、冷戦を終わらせた
  • トランプも「合意の罠」にはまってはならない

 

トランプ米大統領は近々、北朝鮮との会談場所を発表する。

 

会談実現そのものは、トランプ氏の手柄といえる。北朝鮮に対する政治的、経済的、軍事的制裁が効いたためだ。

 

しかし、このまま会談が"無事"に行われ、両国が何らかの"合意"に到ったからといって、トランプ氏が成功したとは言えない。

 

歴史を振り返ってみると、そこには落とし穴がある。アメリカは全体主義国との軍事交渉で合意を急いだために、後世の人々が泣きを見たことがあるのだ。

 

 

ルーズベルトは対ソ交渉で"合意"を得たが、冷戦を生んだ

この罠について警告しているのが、米外交問題評議会のジェイ・ウィニック氏。同氏は米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(4日付)で、フランクリン・ルーズベルト大統領の対ソ連交渉での失敗を教訓として挙げている。

 

以下の指摘は、第二次大戦末期、国際連合の設立等について話し合われたヤルタ会談に関するものだ。

 

「ヤルタ会談が行われた当時、ルーズベルトは余命6カ月かとささやかれるほど、健康が悪化していました。8日間にわたって、軍のトップや大臣たちと、朝から晩まで、さまざまな会談が続きました。しかしルーズベルトは、部下が準備したスピーチのメモも十分に読んでいませんでした。彼は、自分の人柄が、スターリンを口説き落とせると思っていたのです」

 

「ヤルタ会談ではベルリンの分割統治や、対独賠償請求、国際連合の設立等についての合意を見ました。その一方で、ポーランドについては、ソ連との軍事的対立を避けたかったルーズベルトは、親ソ政権を成立させることに同意をしました。チャーチルの強い反対があったにもかかわらずです」

 

「さらに東欧諸国も、ソ連の友好国となるよう、スターリンの要求をのんだのです。これが冷戦の火種となりました。それ以来、ルーズベルトには、ソ連に東欧を売り渡したという評判がつきまとうことになります」

 

ルーズベルトの"合意"――。これはポーランドにとって、「裏切り」でしかなかった。同国はそれまでも、ヒトラーとスターリンの分割統治の下で、蹂躙されていた。その後にさらに、親ソ政権によるポーランド人の弾圧に苦しんだ。1989年に冷戦が終結するまで、約半世紀にわたって流血が続いたのだ。

 

ルーズベルトは、近視眼的な外交成果を急ぎ、失敗した。

 

 

レーガンは対ソ交渉で"決裂"したが、冷戦を終わらせた

対照的な事例がある。

 

ウィニック氏は、1986年10月にアイスランドのレイキャビクにおいて、レーガン大統領とゴルバチョフ大統領との間で行われた米ソ首脳会談を手本にすべきだと訴える。

 

レーガン大統領は、「米ソが10年以内にすべての攻撃弾道ミサイルを破棄する一方、アメリカは戦略ミサイル防衛の研究開発を行う」ことを提案していた。会談ではその交渉のため、2日間で合わせて10時間が費やされた。

 

そしてなんとか、「米ソの核兵器廃絶」を合意する寸前までこぎつけることができた。しかしゴルバチョフは、アメリカの戦略ミサイル防衛の研究開発には反対した。

 

ここで合意しても、レーガンは国内外に「歴史的成果」と宣伝できたかもしれない。しかし彼は、協議の場を立ち去った。つまり、表向きは何の合意も見られなかった。

 

ただ、ここで妥協しなかったことが、翌1987年、中距離核戦略の全廃調印につながった。冷戦の雪解けへと道を開いたのだ。

 

ルーズベルト大統領とレーガン大統領による2つの会談から、学べることは多い。ウィニック氏は、「首脳会談では原理原則に忠実であること」、「譲歩できない点は守り抜く姿勢を持つこと」などが重要だと述べている。

 

では、来たる米朝首脳会談で守るべき原理原則は何か。トランプ氏は、以下の二点を最終着地とする必要がある。

 

(1)「リビア方式の核放棄」や化学兵器を含めたその他の通常兵器の放棄

(2) 韓国を主導とした朝鮮半島の統一

 

ここから遠のく合意をするくらいなら、席を立って会談を終わらせるべきである。

 

 

「リビア方式の核放棄」を

(1)の「リビア方式の核放棄」とは、「情報機関が自由な査察を行い、数ヵ月で核、ミサイル、化学兵器とその製造装置などを完全廃棄し、見返りは完全廃棄実現まで与えない」というもの。これは、ジョン・ボルトン大統領補佐官の持論である。

 

憲法に核保有を定める金正恩氏が核放棄に応じる可能性は少ないという指摘も多い。

 

しかし、リビアのカダフィ大統領が2003年に核の完全放棄を受け入れてから、2011年まで生き延び、イラクのフセイン大統領は徹底した査察を拒否したために殺された、という事実もある。完全な核放棄に応じる可能性もゼロではない。

 

 

「韓国主導の朝鮮半島の統一」を目指せ

(2)の「韓国主導の朝鮮半島の統一」も重要だ。

 

ボルトン氏は当初、韓国主導による朝鮮半島の統一を主張していた。しかし最近はトーンダウンし、「中国が金正恩政権の崩壊に協力するなら、傀儡政権を認める」と主張している。

 

米ニューヨーク・タイムズ紙は3日、トランプ大統領が、在韓米軍の縮小を指示したと報じた。米政権側はこれを否定しているが、「中国の傀儡政権」肯定論と合わせて考えれば、朝鮮半島の戦略的価値に対する見切りから、このような指示が出された可能性もないわけではない。

 

そもそも朝鮮戦争は、当時のトルーマン米政権が朝鮮半島を「軍事的に価値のないもの」と判断し、在韓米軍の撤退を意思決定したことから起きている。

 

「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン―沖縄―日本―アリューシャン列島までである。それ以外の地域は責任を持たない」という「アチソン・ライン」の設定が、金日成氏に南下の侵攻を決断させるきっかけとなったのだ。

 

今の時期の在韓米軍の撤退は、その二の舞となりかねない。

 

朝鮮半島は、ポーランドと同様、共産主義に対する緩衝地帯として死守しなければならない。また、ポーランドのように、北朝鮮をさらに大きな全体主義国家に引き渡すことは、弾圧され苦しみに耐えてきた北朝鮮国民にとって、「裏切り」でしかない。

 

「核放棄の代わりに中国の傀儡政権を認める」という妥協案をアメリカがのめば、ルーズベルトのように、トランプ大統領も、中国に北朝鮮の国民を「売り渡した」大統領として歴史に名を刻むことになる。

 

 

「北民主化を中国民主化につなげる」シナリオ

それは、トランプ氏としても本意ではないはずだ。

 

大川隆法総裁・幸福の科学総裁は4月28日、トランプ大統領の守護霊霊言を収録した。同氏の潜在意識である守護霊は、「自由が繁栄と幸福をもたらします。アメリカは神から与えられた自由を広げるという使命を果たすべきべきであり、これがアメリカ化(アメリカニゼーション)の意味するところです」という趣旨のことを述べた。

 

地上の本人が、その心の声に従うことを期待したい。

 

また大川総裁は2017年4月の幸福実現党大会における法話「立党8年目の真実」で、「北朝鮮の崩壊を見て、中国が民主化、自由化を進めざるをえないような国際的な環境をつくっていく」という戦略を示している。目指すべきはこの方向だろう。

 

アメリカではトランプにノーベル平和賞を取らせる機運も出ているようだが、レーガンはノーベル賞を受賞せずとも、冷戦に勝利し、平和裏にソ連を崩壊へと導いた。臆することなくソ連を「悪の帝国」と呼び、「悪への譲歩」ではなく、「自由の創設」という原理原則を貫いたからである。

 

トランプ大統領も歴史に名を刻むには、首脳会談で護るべき原理原則を貫き、レーガン型の勝利を得ることが求められている。

(長華子)

 

【関連記事】

2018年5月2日付本欄 米朝会談に臨むトランプの"本心" 「3年以内に北の軍事システムを破壊」

https://the-liberty.com/article.php?item_id=14416

 

2017年12月25日付本欄 「北朝鮮の国民は、民主化を望んでいる」脱北者インタビュー

https://the-liberty.com/article.php?item_id=13956

タグ: 米朝会談  ヤルタ会談  ルーズベルト  レーガン  ゴルバチョフ  リビア方式  核放棄  在韓米軍  

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