日本政府の中で、珍しくUFOが話題になった。

27日の閣議で政府は、未確認飛行物体(UFO)に対して「地球外から我が国に飛来した場合の対応について特段の検討を行っていない」という答弁書を閣議決定した。これは、立憲民主党の逢坂誠二衆院議員が、UFOが日本の領空を侵犯したとき、どのような法令で対処するのか、という質問主意書を出していたのに答えたものだ。各メディアが報じている。

UFOの話題は、過去にもチラッと国会に姿を現したことがある。

2005年、民主党の山根隆治議員(当時)が、参院総務委員会で「UFOを見たことがございますか?」と、麻生太郎総務相(同)に質問したところ、麻生氏は体験談とともに重要なことであるという個人的見解を述べた。山根議員は、時の防衛庁に忖度して国防上の問題として突っ込むことはせず、UFOマターは宙に浮いたままとなった。

それに対し、今回の逢坂氏の質問は、2016年に施行された安全保障関連法の「武力攻撃事態」や「存立危機事態」に該当するかどうかを問うものだった。

UFOを無視し続けることは日本の国益にかなっていない

2007年には初の政府のUFO公式見解として、「存在を確認していない」と閣議決定が行われた。2015年にはアントニオ猪木議員が参院予算委員会でUFOに対して自衛隊が緊急発進をしたことがあるかと質問したのに対し、中谷元防衛相(同)が「地球外から飛来した未確認飛行物体を発見した事例は承知していない」と答えたことがある。

UFO先進国であるアメリカでは、政府も公式にはUFOの存在を認めてはいない。だが、国防総省、軍、情報機関、FBIに警察関係ほか、あらゆる公的機関にUFO関係の情報があふれかえっている。

知らないふりをしながら記録、調査を行ってきたことが、情報公開法による開示請求によって明らかになっており、アメリカが興味津々だったことがよくわかる。

UFOを無視し続けることは、日本の国益にかなっていない。

まず、UFOは戦争・紛争など軍が関与する現場に多く目撃されているという現実がある。元自衛官の佐藤守氏の著書『自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO』(講談社)を読むと、国防において見て見ぬふりはできないことが分かる。

「相手が小さな高速目標になってくると、今までのような感覚で警戒監視することには限界が出る」という。北朝鮮のミサイル発射に際して、担当者が緊張のあまり誤った発射情報を上げ、混乱が生じたこともあったのだ。米軍のように、UFOではないかもしれないが、情報分析をしてデータを蓄積し、ミスをなくす努力をすべきというのだ。

世界的なUFO研究者のスティーブン・グリア医学博士によるアメリカのUFO事情を暴露した『ディスクロージャー 軍と政府の証人たちにより暴露された現代史における最大の秘密』(ナチュラルスピリット)によれば、アメリカはUFO研究データのもと、どうやらUFOは国防上の脅威ではないと判断したらしく、領空侵犯したUFOに攻撃を仕掛け撃墜すらしたという。しかも、それは、彼らのテクノロジーが欲しかったからなのだともいう。アメリカはUFOからテクノロジーを得て軍事転用しているのだ。

このようなことは、アメリカ以外の国もやっている可能性を想定しておかねばならない。

どこかの国が極秘にUFOのリバース・エンジニアリングを行っている可能性である。つまり、今後、UFOは地球外からのものか敵国からのものなのか判断がつかなくなる可能性もあるのだ。もし、自衛隊機の目前に、先の大戦で現れ各国のパイロットを混乱させた謎の未確認飛行物体「フー・ファイター」が現れたら、どのように対処するのだろうか。

日本の「アンノウンでも、未確認のものは対象外」というのはどういう理屈なのか分からないが、アジア情勢が緊迫の度合いを深める中、UFOを調査、分析するシステムは早急に必要である。(純)

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