今年は、ヨーロッパ主要国で立て続けに大きな選挙が行われる。3月15日にはオランダ議会選挙、4月にはフランスの大統領選挙、さらに9月にはドイツの連邦議会選挙が行われ、それぞれ、EUに残り続けるかが争点になりそうだ。

EUについては、2016年6月に行われた国民投票で、イギリスは離脱を選択(Brexit)し、問題が表面化している。すでにフランスにもドイツにも、反EUの立場をとる人は50%ほどいるという。どうひいき目に見ても、EUは大きな問題を抱えている。

国民投票の際、「イギリスは離脱すべき」と主張していたイギリスの政治哲学者デビッド・ミラー氏の著作『ナショナリティについて』(風行社)を紐解きながら、EUは何が問題なのか、愛国心とは何かについて考えてみたい。

国家は経済的結びつきだけでは成り立たない