首相が買った書籍7冊から見える日本の行方

2011.01.12

菅首相が 10日、本を7冊購入した。
ケチをつけるようで悪いが、菅首相は「たくさん買っちゃった」と記者団に語ったとか。7冊で「たくさん」というのは、首相クラスの読書量としてどうなのだろうか。
それはそれとして、やはり何を買ったかが気になる。菅首相が何をやりたいかが何となく見えてくるからだ。
藻谷浩介著『デフレの正体』
この本では以下を提言。「若い世代への生前贈与のための相続税増税」「外国人受け入れではなく、外国人観光客増加」「現行の賦課方式の公的年金をやめ、生活保護と生年別共済に移行」。菅首相はさすがに年金廃止は決断できないだろう。相続税増税を進め、外国人受け入れはやらないという可能性が大。

橘木俊詔著『無縁社会の正体』
菅氏のキャッチフレーズ「最小不幸社会」のテーマ。孤独や貧困の問題をどう解決するかを一生懸命考えることだろう。

ジャック・アタリ著『国家債務危機』
ユーロ加盟各国の財政危機について書いてあるのだが、その理屈を日本に持ってくるだろう。消費税増税の理論武装として使おうとしている。

宮本雄二著『これから、中国とどう付き合うか』
在中国の日本大使館に3度在籍した典型的な「チャイナ・スクール」の元外務官僚の著書。中国とは波風を立てない「友好」が第一。対中政策に変化なし。

筑紫哲也著『国家を考える。』
→日本経済新聞出版社刊だが、もとは週刊金曜日に連載していたコラム。典型的な「左」の言論。菅氏自身の信念を確認できそう。

立花隆ほか著『がん 生と死の謎に挑む』
著者自身が07年に膀胱がんを告知され、その治療経過を HNKが取材したもの。その中で立花氏は、がんの原因とされている「がん遺伝子」が、生命40億年の進化の歴史と不可分であることを納得する。ただ、「がんはどうすれば治るのか」の答えはない。遺伝子レベルで考えても、唯物論的にしかがんを理解できない。菅首相らしい選択だが、「生と死」への関心が出てきているのだろうか。

・文芸春秋2月号
コメントなし。


首相が今年やるであろうことは、消費税増税、貧困解決のための格差是正政策、中国との「友好」。やはり希望はなさそうだ。(織)

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