「小さな政府」でも産業創出に“手を出す"べき理由【鈴木真実哉のHSU流・経済塾(7)】

2015.05.12

経済学者
鈴木真実哉

プロフィール

(すずきまみや)1954年生まれ。早稲田大学大学院を修了。金融論、貨幣論、シュンペーターやハイエク理論を研究。主な著書に、『格差社会で日本は勝つ』(幸福の科学出版)、『カオスの中の貨幣理論』(共著、雄松堂出版)などがある。2015年開学の私学ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)経営成功学部のディーンを務める。

「格差批判はなぜ問題なの?」

「どうすれば国は豊かになるの?」

「金融は危ない稼ぎ方なの?」

こうした疑問について考える中で、経済学の基本的な考え方を学ぶことができる。

本コーナーでは、4月に開校した私塾「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)」の経営成功学部ディーンの鈴木真実哉氏に、経済の諸問題について話を聞いていく。第7回は、「経済学と心」「政府の産業創出」について。

今日のポイント

  • 人間の心を無視した近代経済学では、経済を説明できない
  • アメリカでIT産業が生まれたのは政府のおかげ
  • 基幹産業を支える技術開発のリスクは、政府でないと負えない

人間の心を無視した近代経済学では、経済を説明できない

――鈴木先生は「経済から精神が失われている」ことを問題視されていました。一般的な経済学では、精神的なものをどのように捉えているのでしょうか。

鈴木真実哉氏(以下、鈴木): 近代経済学では、バーチャルな一つの人間を想定して、画一的に経済行動を説明しようとしています。それは、全てを合理的に考え行動する「経済人」という人間像です。例えば、「何をどれだけ買うか」を数式にあてはめるように考えるのです。

これは人間の個性を無視しています。例えば、目の前に落ちている100万円を見て、自分のものにするか、交番に届けるかは、人によって違います。仮に自分のものにしたとしても、何に使うかは人それぞれ。近代経済学の前提である無個性な「経済人」は存在しないのです。

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