安倍政権 発足からまもなく1年 国防・経済・教育 国を守る気概を見せてほしい
2013.12.18
第2次安倍政権が発足してから、まもなく1年が経とうとしている。国防強化や成長戦略など、有権者に「強い日本」を想起させる政策を打ち上げてきたが、実際には、課題が多く、その先行きに不安がつきまとう。
中国人の尖閣上陸や北朝鮮のミサイル発射など東アジア情勢が緊迫する中で、安倍晋三首相は政権発足当初から、国防強化を掲げていた。この中で、2014年度の防衛費は前年比で2.8%増やし、4兆8870億円とする方針である。
だが細かく見れば、そのうち2%は、東日本大震災の復興財源を確保するための、国家公務員給与の減額措置の終了によるもので、自衛隊員らの人件費が増えることによる増額である。つまり、実質の伸び率は0.8%で、13年度と同じ水準だ。安倍首相も9月にアメリカで行った演説で、「日本は11年ぶりに防衛費を増額したが、たった0.8%に過ぎない」と指摘。自ら防衛費の増額が十分でないことを示している。
昨年12月の衆院選前後には、集団的自衛権の行使や憲法改正についても、万難を排して取り組むような期待を国民に持たせていたが、現在、これらの議論は先送りしている。
経済政策でも、今年前半の目玉政策だった成長戦略がほとんど進んでいない。雇用の自由化を進める雇用制度改革も、厚生労働省などの反対で先送り。また、医療機関の診療報酬についても、厳しい財政状況を踏まえて引き下げる方針だったが、自民党の強い要望で結局、増額へと転じた。農業分野では、減反政策をやめる方向に向かっているものの、コメ農家への手厚い保護は継続している。
このように、多くの分野で所期の目的を達成できていないのが実情であり、来年4月には、消費税率8%へのアップで景気の失速も予想される。
さらに教育分野でも、「知識偏重」を脱することを目的に、面接や論文のほか、留学経験などの「人物」を重視する方向へと傾いているが、こうした基準では、生まれや育ちが大きく影響してしまい、「学力」という公平な物差しを捨てることになる。「ゆとり教育」の復活につながってしまう。
もちろん、安倍政権は、民主党政権と比べれば、日本の国益を重視した政策を進めている。ただ、当初、有権者に掲げてきた公約や発言は、重要な部分に踏み込めず、実現できていないものが多い。発足から1年を控えた安倍政権には、国防の観点からも、経済の観点からも、本当にこの国を守る気概を見せてほしい。(晴)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『吉田松陰は安倍政権をどう見ているか』 大川隆法著
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