「常識外れ」の研究が科学の未来を拓く 日本の2グループがイグ・ノーベル賞を受賞
2013.09.15
「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が12日、米ハーバード大で行われた。日本からは、玉ねぎを切った時に涙が出る原因となる酵素を突き止めたグループに「化学賞」が、心臓移植を受けたマウスにオペラ『椿姫』を聞かせると生存期間が延びることを発見したグループに「医学賞」が贈られた。
その他に受賞したのは、月面に池があった場合、人間が池の表面を走って渡ることができる可能性があることを発見した研究(物理学賞)や、糞虫が道に迷ったときは、天の川を見ながら来た道を帰ることを発見した研究(生物学賞兼天文学賞)など。このように、SFのような研究や、思わぬ視点からの研究が対象となっている。
イグ・ノーベル賞は1991年に創設され、科学ユーモア雑誌編集者のマーク・エイブラハムズ氏が主催している。自薦・他薦を問わず、エントリーされた研究から審査され、毎年10の個人やグループに贈られる。日本人は常連で、犬の言葉を翻訳する機械「バウリンガル」を開発したチーム(2002年平和賞)や、「34年間自分の食事を撮影し、脳の働きや体調への影響を分析する」という研究を行った、ドクター・中松こと中松義郎氏(2005年栄養学賞)も受賞している。
過去のイグ・ノーベル賞の中には、未来科学につながる可能性を秘めたものもある。たとえば、「人間社会が古代の宇宙人からどのくらい影響を受けていたか」というテーマ(1991年文学賞)や、宇宙人に誘拐されたと思っている人は、おそらく本当に誘拐されたという結論に達した研究(1993年心理学賞)は、UFO研究の先駆者たちが受賞したものだ。
また、「人間は神に創造された」という考えに基づいて「子供たちにダーウィンの進化論を教えるべきでない」とした米カンザス・コロラド両州の教育委員会も1999年に科学教育賞を受賞している。イグ・ノーベル賞は受賞者への皮肉を込めて贈られる場合があり、このケースもそれに該当すると見られるが、賞の理念である「考えさせてくれる研究」という意味では、無神論に片寄りがちな近代科学への疑問を投げかけているとも考えられる。
科学研究は、「未知なるものの探究」のために行われる。そのヒントは、イグ・ノーベル賞を受賞した研究のような、面白いものを探し続ける遊び心の中にあるだろう。エジソンも晩年は霊界通信機の研究をしていた。今後、こうした常識を打ち破る研究が、科学の未来を拓いていくことだろう。(晴)
【関連書籍】
幸福の科学出版『トーマス・エジソンの未来科学リーディング』大川隆法著
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