印シン首相が日本に"ラブコール" 日印同盟の構築を進めよ

2013.05.30

来日中のインドのシン首相は28日、都内で開催された経済団体の会合で、日本企業の対インド投資が「日本企業にとって成長とグローバル化の好機になる」「インドは日本の技術と投資を必要としている」と述べ、同国の経済発展には日本の投資が不可欠であるとの見方を示した。

日印両政府の間では、これまでに日本からインドへのインフラ輸出の計画が話し合われてきた経緯があり、特に鉄道事業の分野で活発になっている。人口の多いインドでは、交通渋滞や環境問題が経済発展の大きな障害となっており、輸送効率がよく環境負荷が少ない鉄道の整備が急務だ。

具体的には、最大都市ムンバイと工業都市アーメダバードを結ぶ高速鉄道計画があり、フランスなどからの売り込みがあったなか、今回、日本の新幹線への絞り込みがなされたようだ。日本の新幹線の高い安全性やコストパフォーマンスの良さが評価されたと見られる。

また、ムンバイの地下鉄建設についても、総事業費の約16%にあたる710億円の円借款(貸し付け)を日本政府は表明している。このほかにも、IT産業を支える理工系人材の教育施設や開発が遅れている同国南部への投資資金を順次増やしていくという(29日付日経新聞)。

日本が高いインフラ技術を輸出することは、インドの様々な産業の土台を築き、雇用も生み、インドの人々の生活を豊かにしていくことにつながる。もちろん、日本企業の社会的信用や国際競争力が高まり、その結果、日本経済も潤う。

また、こうした日印両国の強い結びつきは、経済のみならず、安全保障にもつながる。

インドは、国境を接する中国との間で、たびたび緊張状態が生まれているが、最近もインド領に中国側が侵入するなどの問題が取り沙汰された。かたや、日本でも尖閣問題をはじめ、中国は大きな脅威となっている。財政赤字で苦しむアメリカがアジアから引き始めた今、日本は核保有国であるインドとがっちりと手を組むことの重要性を理解して、中国を念頭においた日印同盟を進めるべきだろう。

日本政府は、こうした好機をしっかりとモノにして、日印両国の発展、周辺地域の安定のために力を尽くすことを期待したい。(原)

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2013年5月22日付本欄 タイで水サミット 日本はインフラ輸出で国際貢献を

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