甘すぎる生活保護引き下げは当然 不正受給を根絶せよ
2013.01.25
「生活保護費の原則1割カット」を公約に掲げていた自民党だが、公明党との折衷で「生活扶助費6~7%減」で最終調整に入った。「もらい過ぎ」や不正受給が問題となっている中での当然とも言える削減案に対し、受給者などからは14万人の反対署名が提出された。
生活保護受給者数は2012年10月時点で214万人を超え、増え続ける一方だ。1995年には88万人だったから、この20年弱で2.4倍に増えている。支給総額も年間3兆7千億円(2012年度推計)。つまり国民の血税をこれだけつぎ込んでいるのだ。
実際の受給額はどれぐらいか。東京都を例にとってみよう。
20代単身で生活扶助83,700円、住宅扶助53,700円で計137,400円。
最低賃金時給850円なので月給にすると136,000円(8時間で20日間勤務)。
母子世帯(30歳、4歳、2歳)で生活扶助140,810円、住宅扶助69,800円で計210,610円。
最低賃金は同じく136,000円。
どちらも最低賃金より多いが、母子世帯では圧倒的に生活保護の方が有利だ。単身世帯でも東京都をはじめ6都道府県でいまだに最低賃金を生活保護受給が上回る「逆転現象」が起きている。
これだけではなく、生活保護世帯には、年1回14,000円程度の期末一時扶助、教育扶助、学校給食費、交通費実費支給、それに無料で薬などをもらえる医療扶助もある。
これでは、「安くてきつい労働するより生活保護が楽だ」と思って生活保護に走る人が増えるはずだ。本来、最後のセーフティネットであるはずの生活保護が、若者の間で「ナマポ」と呼ばれて生活保護をもらって遊んで暮らす人も増えている。
20年間もデフレ状態が続いて、賃金が減少し続けている中で、生活保護の受給額は減額してこなかったのが「逆転現象」の大きな理由だ。地価や物価も安くなっているのだから、受給者たちの反対運動や、公明党の抵抗には正当性はあまりない。民主党も含め、「票が欲しいための優しすぎる社会保障」は、国家を財政破綻させ、国民もダメにするだけだ。
政府は給付額を実態に即して削減すると同時に、不正受給の根絶に力を尽くすべきだろう。そして、受給条件を見直し、働けるはずの人への支給はやめるべきだ。一方でホームレスの人のほとんどが生活保護を受けていない実態についても見直し、「支給すべき人に支給し、支給すべきでない人には働いてもらう」という、当たり前の社会に戻すべきだろう。(仁)
【関連記事】
2012年4月27日付本欄 若者の「ナマポ(生活保護)」ブームの実態は?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4216
2012年10月16日付本欄 働かない人に生活保護と就労支援 血税をドブに捨てる社会保障の愚
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内
YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画