米大統領選 外交政策は原則論で一致 接戦のまま最終盤へ
2012.10.25
米大統領選の最後の討論会が22日、フロリダ州で開かれた。外交政策を議題にした今回は、民主党・オバマ氏が現職の強みを生かした現実的な議論を展開。討論会後のCNNの世論調査では、オバマ氏の議論を評価する答えが48%だったのに対し、共和党のロムニー氏は40%だった。一方、ロムニー氏が米軍の最高指揮官としてふさわしい資質を持っていると答えた人も60%おり、及第点を受けた格好だ。
両候補の討論会でのやり取りからは、アメリカの外交政策の議論が一定の範囲で収れんしている様子が見て取れる。「強いアメリカ」を復活させるべきと主張するロムニー候補は、強い防衛力を維持するために強い経済力が必要だとした。
対するオバマ大統領も、アフガニスタンやイラクから米軍を撤退させるのは、国内の「国づくり(nation building)」に注力するためでもあると話している。ロムニー氏が中小企業支援を主張し、オバマ氏が製造業復活を掲げるなど、手法の違いはあるが、原則は大きく変わらない。
イラン問題でも両候補は、制裁によって核開発を諦めさせる方向で一致。アサド政権による市民の虐殺が続いているシリアについても、国際的な圧力をかけるとしながら、両候補とも、軍事介入には否定的だった。
中国については、ロムニー氏が補助金や為替政策で輸出産業を不当に有利にしている中国の政策を批判。オバマ氏は、アジア・太平洋での航行の自由を守るために、米軍のプレゼンスが求められていると訴えた。両候補とも、中国が国際ルールを守るよう圧力をかけるという考え方では一致している。
国家の生存の問題に直結する外交政策は、思想の左右を超えて、ある程度、原則論では一致してゆくものである。日本でも政権交代後に急速に親中シフトしようとした民主党政権が挫折し、外交政策は日米同盟を基調とした流れに戻ってきている。どの党も、国を守るということを真剣に考え、外交を語るべきである。
【関連記事】
2012年10月6日付本欄 討論会で散々だったオバマ米大統領 健康不安説まで飛び出す
http://the-liberty.com/article.php?item_id=4979
2012年11月号記事 オバマvs.ロムニー 米大統領選の行方は
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内
YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画