日本は航空・宇宙産業を基幹産業に育てよ
2012.03.08
現在、日本の自動車産業は、歴史的な円高や国内市場の収縮など、厳しい環境の中に置かれている。特に、世界有数の自動車産業の集積地である中部地域は、その影響を大きく受ける。そこで今、自動車に続く次世代の基幹産業として、最も注目され期待されているのが航空・宇宙産業である。
中部地域は、航空機の機体・部品生産高で全国シェア50%を占める、国内最大の航空・宇宙産業の集積地でもある。燃料費20%削減を実現し、800機以上の受注を抱える米ボーイングの最新鋭旅客機「787」の機体部品の生産をはじめ、大型ロケット「H2A」の製造、そして、国産初のジェット旅客機「MRJ」の開発も進行中だ。
昨年末には、愛知、岐阜両県、名古屋市などが、国の「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」に指定された。大村秀章・愛知県知事は、「米シアトル、仏トゥールーズに並ぶ世界三大航空産業拠点のひとつを作り上げていきたい」と意気込みを語っている。
現在、日本の航空・宇宙産業の市場規模は1兆5000億円程度で、世界シェアの3%にも満たない。しかし、世界の航空・宇宙産業を陰で支えているのは、日本の高度な技術力である。世界各国が、航空・宇宙事業を重要な国家戦略と位置づけ、開発にしのぎを削る中、日本が手をこまねいて見ているわけにはいかない。
今後、日本は、壮大な国家プロジェクトを立ち上げるなどして、未知の分野に資金と人材を投入すれば、ものすごい力を発揮できるはずだ。今こそフロンティア精神を発揮し、日本が世界を引っぱっていくという気概を持って、航空・宇宙産業を大きく育てていってほしいものだ。(泰)
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