北朝鮮がシリアに化学兵器を輸出――よみがえるサリンの恐怖

2012.01.06

ギリシャ当局が2009年11月、北朝鮮がシリアに向けて化学兵器関連の試薬を輸出しようとしたところを見つけ、押収していたことを、5日付読売新聞などが報じている。

北朝鮮に対しては2009年6月、国連安保理が武器関連物資の輸出を禁じている。しかしその後10件の武器関連の密輸疑惑があり、うち少なくとも4件が中国を経由しているという。

シリアはイスラエルに対抗するために、北朝鮮から1991年にスカッドミサイル150基を購入したり、秘密の原子炉を北朝鮮の支援を受けて建設したとされる。

北朝鮮には、すでにパキスタン、ミャンマー、イラン等との核連携疑惑がある。さらに化学兵器の輸出となれば、多数の国民を飢え死にさせておいて、あり金を兵器に注ぎ込み、それを密輸して金を稼ぐという、「死の商人」そのものだ。さらにその裏で糸を引いている中国の存在がある限り、このような密輸は続くだろう。

韓国国防省の推計では、北朝鮮はマスタードガスやサリンなどの化学兵器を2500~5000トンも保有しているという。サリンと言えば、誰もがあのオウム真理教による「地下鉄サリン事件」「松本サリン事件」を思い出す。つまり、核だけでなくサリンも大量保有している「地上最悪のオウム国家」が目と鼻の先にあることを日本人も自覚して、化学兵器に対しても防衛対策を怠ってはならない。

そして、米国、韓国、インド、ロシア、オーストラリア等と組んで「中国・北朝鮮包囲網」をさらに強固にしなければならない。(仁)

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