TPPは日本の経済成長モデルを問うている

2011.11.10

米ウォールストリート・ジャーナル紙のジョージ・メロアン前副論説委員が、7日付の紙面で、日本は経済モデルの見直しを迫られていると論じ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加するメリットについてまとめている。

  • 低成長、政府負債、高齢化、円高に苦しむ日本にとって、日米主導のTPPは、輸出で稼ぐ重商主義的で使い古された経済モデルから抜け出す契機になる。
  • TPP参加で貿易黒字は減るが、海外からの投資が拡大すれば企業の資金調達が容易になり、労働人口減少の影響をカバーできる。国債購入に充てられている個人貯蓄が高齢化で減少すると見込まれる中で、日本政府の資金調達も楽になり、資本収支で得をすることになる。
  • 輸入を重視する政策がかつて成功したのは事実だが、日本の企業が優れた能力をもつといっても、人口減と高い法人税の下で競争力を維持できる保証はない。TPPは海外との競争によって国内産業の生産性を高めるほか、移民による人口減少対策にも道を開く。
  • 自給率を押し下げている非効率な農業政策にもTPPはプラスにはたらく。関税撤廃は食料価格を下げ、農業の効率化を迫る。効率化で手の空いた労働者は、もっと高給で生産性の高い産業に移ることができ、働き手の確保にもつながるのである。

TPPへの参加については、「国内の農業や金融業が壊滅する」といった感情的な議論が先行している。しかし、真に反対すべき対象は本当にTPPなのか、それとも各産業の生産性を落としているバラマキや規制や重税なのかについては、冷静に考えてみる余地がある。保護主義か自由主義か、TPPが問うているのは日本の長期的な経済モデルであろう。

【関連記事】

2011年4月11日付本欄 「TPPで中国を牽制するアメリカ」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1673


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