エネルギー白書から「原発推進」の文言削除

2011.10.14

近く閣議決定される予定の最新の「エネルギー白書」(2010年度版)で、前年度まで盛り込んできた「原発推進」の文言が削除され、原発関連の記述も大幅に減らされていることを、13日付朝日新聞夕刊が報じている。

白書は経済産業省が作成し、閣議決定を経て毎年5、6月ごろに公表している。今回の10年度版は震災の影響で延期され、同省が原発の記述を中心に内容の見直しを進めていた。

過去の白書では、原発について「基幹電源と位置付け、推進」としてきたが、10年度版ではこの文言を削除し、代わりに冒頭で「原子力の安全確保に関する課題が浮き彫りになった」と指摘。02年以降、毎年発行されてきた白書に、「原発推進」の文言が入らないのは初めてという。

ほかにも、09年度版と比べて削除された文言は、核燃料サイクルについて「推進することを国の基本方針とする」という箇所や、高速増殖炉に対する「環境負荷の低減という観点からも開発意義が高い」という言葉である。さらに、「現在54基ある原発を30年までに14基以上増やす」としたエネルギー基本計画についても「白紙で見直す」とした。

ここで注意すべきは、この記事を報じたのが脱原発を目指す朝日新聞であり、夕刊の1面で大きく報じている点だ。記事では「原発事故を受けてエネルギー政策を白紙から見直す政権の方針を踏まえた内容だ」などとし、喜んでいる印象すら受ける。

9月、国連の原子力会合で野田佳彦首相は、「原発の安全性を世界最高水準に高める責務を担い行動することを誓う」と明言。また、「原子力利用を模索する国々の関心に応える」として、原発の輸出を継続する考えを強調した。菅前首相に比べて原発に積極的な野田首相に対し、朝日新聞は脱原発の世論を喚起したいのだろう。

だが、脱原発の後に実現するのは、電気の使用を強制的に制限される貧しい日本であり、石油などの資源が運ばれてくるシーレーン(海上交通路)を空母に抑えられ、中国の言いなりになる日本である。(格)


タグ:

「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内

YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画



記事ランキング

ランキング一覧はこちら