日本の脱原発を尻目に、中国は安全な新型を開発へ

2011.08.09

中国広東省深セン市にある嶺澳原発で原子炉1基が7日、商業運転を開始した。福島第一原発事故の後、初めて中国で原発が新規稼動した。

中国政府は福島原発の事故後、新規プロジェクトの申請を一時中止しつつも、原発推進のスタンスは変わっていない。

中国では現在、原発14基(約1200万キロワット)が稼動。加えて建設中の原発28基(約3000万キロワット)が5年以内に稼動する。これは日本の原発発電量4900万キロワットに迫る規模だ。

福島第一原発が第二世代のGE社製沸騰水型炉だったことから、第三世代のウェスチングハウス社製加圧水型炉AP1000に絞り込む方向だと中国内で報道されている。AP1000は、福島第一のような事故が起きても、運転員の操作や電源の必要なく、自動的に炉心を冷却できるシステムを持つ。

ちなみにウェスチングハウス社は東芝グループだが、これが中国では大量導入されるというわけだ。

さらに中国は、ウランを使わず、トリウムを燃料とする「トリウム溶融塩炉」の開発を今年から本格的に始めている。トリウム溶融塩炉はアメリカで1960年代に研究されていたが、ウラン系燃料による原発が主流となり中断された。これは核兵器の原料となるプルトニウムが必要だったためで、原発そのものの機能としては何の遜色もない。トリウム溶融塩炉は、有害な核廃棄物が今のウラン系原子炉の1000分の1しか出ず、核分裂連鎖反応を止めることも容易だという。

中国政府は20年後をめどに実用化するとしており、新型原発の開発でも中国が先を行っている。

かたや日本は単に首相が「脱原発」を声高に唱えるだけ。それを尻目に世界はより安全な原発づくりに動き出している。(織)


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