佐賀県知事が「原発の安全性クリア」で再稼働へ前向き姿勢

2011.07.01

定期検査後に停止したままになっている玄海原発2,3号機(佐賀県)の再稼働をめぐる問題で、佐賀県の古川知事は29日、来県した海江田経済産業相との会談後、「原発の安全性の問題はクリアされた」と語り、運転再開へ前向きな姿勢を示した。

この日、海江田経産相は、玄海原発の沖合には巨大地震を起こすようなプレートがないことを説明し、浜岡原発との危険性の違いを強調。「危ないところは政治が止める。その代わり、危険性のないところは政治の判断で再稼働をお願いする」と明言した。政府のお墨付きをもらった古川知事は、今後、再稼働に向けて県議会の意向を確認する。

こうした動きの一方で、浮き彫りになっているのが菅首相の「無責任さ」である。菅首相は27日の記者会見で、原発の立地地域に自ら足を運んで再稼働に向けた説得を行う考えがあるかという質問に対し、答えをそらして見解を示さなかった。

古川知事がこの会見を確認したか否かは分からないが、知事は29日の会談後、記者団に対して、「総理も海江田大臣と同じ気持ちに立っておられるふうには、私は感じることができませんでした」と不満な点を挙げ、「何らかの形で、この再起動について総理が本当はどうお考えなのかということを確かめたい」と語った。混乱期に国のトップである菅首相が本音を明かさないということは、国民にとってあまりにも不幸な事態だ。

現在、菅首相は与野党から早期退陣を迫られているが、それをかわす切り札として「脱原発解散」というカードをちらつかせている。カードの効力を維持するためにも、明確な「再稼働宣言」をして自分に「原発推進派」というイメージが付くことは避けたいところだろう。

秋田県をのぞく全国で真夏日になった29日には、熱中症で4人が亡くなった。7月1日からは東京・東北電力管内に「電力使用制限令」が発動され、その他の地域でも深刻な電力不足が懸念されている。菅首相は権力の座にしがみつくのではなく、大局的な視点からの英断を求めたい。(格)


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