真実の愛とは何かをめぐるミュージカル映画『ウィキッド 永遠の約束』
2026.03.29
全国公開中
《本記事のポイント》
- 真実の愛とにせものの愛
- 異質な存在をも受け入れる深くて広い愛
- 憎しみを超える愛の力
『オズの魔法使い』に登場する魔女たちの物語を描いた大ヒットブロードウェイ・ミュージカル「ウィキッド」を実写映画化した2部作の後編である。
オズの国に隠された真実を知り、それぞれの道を歩むことになったエルファバとグリンダ。"悪い魔女"として悪名を着せられ民衆の敵となったエルファバは、言葉を奪われた動物たちの自由のために戦い続けていた。
一方"良い魔女"となったグリンダは、希望の象徴として名声と人気を手にするも、その心にはエルファバとの決別が深い影となって落ちていた。和解の言葉も届かず、2人の溝が深まっていく中、オズの国に突如現れた"カンザスから来た少女"によって運命は大きく動き出し、2人はかつてのかけがえのない友と向き合うことになる。
大きな成功を収めた前編『ウィキッド ふたりの魔女』に続き、本作でもジョン・M・チュウ監督がメガホンをとった。また、エルファバ役のシンシア・エリボ、グリンダ役のアリアナ・ グランデら豪華キャスト陣も引き続き出演する。
真実の愛と偽物の愛
今回の作品では、「真実の愛とは何か」をめぐって、様々な人物と物語が交錯していく。なかでも心揺さぶられるのは、2人の魔女、エルファバとグリンダとの間で揺れ動く男性フィエロの決断だろう。
魔法が使えないのにもかかわらず、オズの魔法使いの策略によって、"良い魔女"に祭り上げあげられたグリンダとの婚約・結婚を目の前にちらつかせられながらも、最後にフィエロは"悪い魔女"エルファバへの愛を貫くことになる。
それは、真実の愛とにせものの愛について考える、とても良いサンプルだ。グリンダと結婚すれば、オズの国での地位や名声で称賛が約束されている。しかしそれは、魔法が使えない魔女という偽りの偶像を支えるつっかい棒でしかないのだ。
フィエロはこの偽りの愛を捨て、自分が真実、愛している女性、すなわち"悪い魔女"のエルファバへの想いを貫く。それは命がけの愛であり、その先に待ち受ける試練を引き受けるという残酷な運命を伴ったものでもあった。
大川隆法・幸福の科学総裁は、偽りの愛の奥にある、自己愛やこの世的な評価にこだわることの虚しさについて、次のように指摘している。
「この世的価値判断に一体何の意味があるのでしょうか。三次元的、唯物論的な評価をしてもらったところで、一体それが、なんの役に立つというのでしょうか。一体どれだけ、自分の向上に役立つというのですか。
そのような自己愛の心は、他人と自分をへだてる壁となり、やがては、地球全体に、動物園のような金網の柵をはりめぐらすことになるのです。
そういうことが、なぜわからないのでしょうか。すなわち、まちがった執着をもっているからです。だから、わからない。執着の心をもっていたのでは、ほんとうのしあわせというものを得ることはできないのです。」(『太陽の法』より)
異質な存在をも受け入れる深くて広い愛
フィエロがそこまでして、エルファバを愛し抜いたのはなぜなのか。それは、エルファバの持つ、広く深い愛の心ゆえであろう。
エルファバには、オズの魔法使いに迫害されている、言葉を話す動物たちに対する理解と尊重の心があったのだ。知性溢れる存在を、動物の姿をとっているというだけで差別するオズの国のあり方に疑問を持ち、独裁的専制主義とも言えるオズの国のあり方を変革しようとする正義の心が、エルファバを迫害の対象へと追いやったのである。
自らが迫害の対象となっても、虐げられたものへの深い愛ゆえに、その苦しみをあえて受けるエルファバの広く深い心のあり方こそ、フィエロが愛したものである。
大川総裁は、考え方や生まれの違いを超えて、相手を理解しようとすることが、愛につながるとして、次のように語っている。
「『違いを違いとして認め、他を理解すること。これもまた愛なのだ』ということを、私は述べています。
人を愛せないのは、その人のことが理解できないからです。相手を理解することができたら、それは、『愛した』ということと同じなのです。理解できないから憎しみ合い、理解できないから攻撃し、理解できないから排斥し、理解できないから『憎悪の連鎖』が止まらないのです。
したがって、その『憎悪の連鎖』が止まらないことを、当然のことと考えてはなりません。『憎悪の連鎖』を増幅させてはならないのです。
そうではなく、自分たちがいかに他の者の考え方に対して無理解であるかということを知ったならば、一歩でも二歩でも、お互いに理解できるように歩み寄ることが大事ではないでしょうか。」(『伝道の法』第5章「慈悲の力に目覚めるためには」)
憎しみを超える愛の力
一方、自分の婚約相手を奪い、自分を恥ずかしめた憎き存在であるエルファバを、最終的にグリンダが許し、共に力を携えて、オズを理想の国へと導いていこうとするところは、何とも言えない清々しさを感じさせる。
憎むべき相手を心の中で許し、国の指導者として、自分が果たすべき役割を重く受け止めていくグリンダを、アリアナ・グランデが熱演している。
それは、心の中に芽生えた憎しみこそが、すべての不幸の出発点であり、心の中のやましさと常に戦い続けることこそ、真のリーダーでの条件であることを示唆しているとも言える。
「憎しみは、相手を傷つける一本の毒矢。
そして、自分自身の仏性をも汚す。
怒りは、心中に毒素をつくり、
対立と不和の種を、世間にばらまいていく。
もっと信じよう、お互いの仏性を。
もっと許しあおう、お互いの間違いを。
憎しみを捨て、愛をとれ。
仏性、相等しきを喜べ。
世界を、あなたのために、ひざまずかせるのではなく、
あなたが、世界のために、ひざまずいて、平和を祈れ。」(『心の指針Selection7 憎しみを捨て、愛をとれ』)
アメリカを代表するファンタジー小説『オズと魔法使い』をベースにしながら、様々な愛の形を描いた本作品は、人間を不幸にも幸福にもする"愛の力"の奥深さについて考えを巡らせるきっかけともなることだろう。
『ウィキッド 永遠の約束』
- 【公開日】
- 全国公開中
- 【スタッフ】
- 監督:ジョン・M・チュウ
- 【キャスト】
- 出演:シンシア・エリボ アリアナ・グランデほか
- 【配給等】
- 配給:東宝東和
- 【その他】
- 2025年製作 | 137分 | アメリカ
公式サイト https://wicked-movie.jp/
【関連書籍
いずれも 大川隆法著 幸福の科学出版
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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