【名画座リバティ (20)】「支える愛」の美しさ──『ビューティフル・マインド』
2026.02.22
Happinet『ビューティフル・マインド』より。
親愛なる映画ファンの皆様、今回もいい映画をご紹介できることを光栄に思います。
幸福の科学の女性誌『アー・ユー・ハッピー?』3月号に、重度の「うつ」から回復した男性と、それを支えた妻の体験談が出ています。その特集でも触れられている、映画鑑賞で心を癒やす映画療法(シネマセラピー)というものがあります。今のような寒い季節から春にかけてはメンタルを病みがちな方も多いそうなので、今回はその体験談をヒントに、映画療法で勧められることもあるアカデミー4部門受賞作『ビューティフル・マインド』を取り上げます。
これは、心を病んだ天才の夫を支えた妻の感動的な実話ですが、極上の心理サスペンスとしても楽しめます。映画だけに可能な驚愕のトリックが効果的に使われており、一度目は驚愕、再鑑賞ではそのトリックを念頭に置いて味わうことができます。
(あらすじ)
1947年、米プリンストンの大学院生ジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)は数学の天才として認められ、やがて教授となるが、次第に自分は政府の極秘任務を担っているとの妄想と幻覚にとらわれる。統合失調症と診断され、入院・離職をして病に苦しむジョンを、献身的に支える妻アリシア(ジェニファー・コネリー)。その甲斐あって1969年、ジョンは完治してはいないが大学に復職。1994年、若い頃の業績によってノーベル経済学賞を受賞する。受賞演説でジョンは、自らの心の深淵を覗いた数学者だからこそ言える言葉でアリシアへの感謝を伝える。
本作では『グラディエーター』(2000年)などでマッチョなヒーローのイメージが強いクロウが数学者を演じる意外性(実際のナッシュも立派な体格)も見所ですが、それ以上にアリシア役のジェニファーの演技が素晴らしく、本作でアカデミー助演女優賞を得ています。心を病む夫への憐れみ、絶望に負けそうな悲しみ、それでも夫を見捨てない忍耐と献身。まるでダイヤモンドのカット面の如く、多彩な輝きと影の彩(いろどり)を放つ「美しい心」を演じて見せてくれます。
ジェニファーは1986年15歳の時、化粧品のCMで日本でもアイドル的人気を博しました。その後はやや低迷したものの、本作などで演技派美人女優の地位を築き、2022年の『トップガン マーヴェリック』ではトム・クルーズの恋人役として50代の素敵な女性の魅力が全開でした。筆者も昔からファンなので(笑)、彼女の話が長くなりましたが、歳月を経て俳優の成長を見届けることが出来るのは映画鑑賞の楽しみの一つです。興味のある方は上記CM動画を探してその美少女ぶりをご覧ください。
本作はアカデミー脚色賞を受賞した脚本も秀逸で、主役二人に真実の台詞を言わせています。夫婦の物語なので、キーワードの一つは「愛」です。たとえばアリシアがジョンの同僚に、こう静かに打ち明けるシーンがあります。
「よく、義務感とか、逃げたくなることへの罪悪感、彼への怒りや神への怒りを感じてしまうの。でも、そんな時は彼を見て、"自分が結婚した人"を見出そうとする。そうすると、彼はその人になる。私が愛している人に変わる。そして私も、彼を愛している人間に変わる。いつもって訳じゃないけど……それで十分なのよ」
ここで二回言われている「変わる」の英語はis transformedつまり「変身する」です。自分の否定的な心に負けず、心の眼で本来の相手を見ようとすることで、相手も自分も愛の存在へと変身を遂げる。大川隆法・幸福の科学総裁の著書『太陽の法』第3章に説かれている「愛の魔法」が思い出されます。
すなわち、人間は弱く愚かな生き物ではあるけれど、
「お互いに愛しあうということによって、その罪を許されている。人間は醜い。しかしその醜さばかりをいくら見つめていても、醜さは消えない。神様は、人間の罪を許し、醜さを消すために、愛という魔法の力をお与えになった」
たとえ目の前の相手が悩乱し暴れても、どんなに悲惨な姿であっても、そうした仮象を見つめるのでなく、「愛の存在」としての相手の実相を見つめる。冒頭に紹介した体験談の妻も、家族のうつに苦しむ人に向け、こう語っています。
「どうか焦らないで、その人の仏性を信じて待ってあげてください。(中略)待ち続けるには忍耐が必要です」
仏性を信じるとは、相手のマイナス面にとらわれず、仏の子として善なる素晴らしい存在である相手の本質を信じ、それを見ようとすることでもあります。その見方そのものが、相手を本来の健全な姿へと蘇らせる愛の力となるのでしょう。
ジョンはノーベル賞受賞演説で、数学の命である「論理」と「愛の神秘的な方程式」について語ります。愛、苦しみ、忍耐、そして信じること。すべては「心」が織り成す、光と影を変数とする美しい方程式であると感じさせてくれる、真実のストーリーです。映画的楽しみと感動のうちに、観る方が心を癒やされることを願います。
(田中 司)
『ビューティフル・マインド』
- 【スタッフ】
- 監督:ロン・ハワード
- 【キャスト】
- 出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス
- 【その他】
- 2001年製作 | 135分 | アメリカ
【関連書籍】
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