映画音楽の巨匠ハンス・ジマーの集大成『ワールド・オブ・ハンス・ジマー 新次元へ』
2026.01.25
The Sound Of 007 With Dame Shirley Bassey, Jamie Cullum, Skin, Lulu, Ella Eyre, Garbage, Don Black, Hans Zimmer, Paloma Faith, David Arnold and the Royal Philharmonic Orchestra
全国公開中
《本記事のポイント》
- 映画の魅力を引き立てる音楽の力
- 決して近道を選ばない水面下の努力
- 登場人物の心の内を音楽で描く
『バットマン ダークナイト』『インターステラー』『グラディエーター』『DUNE デューン 砂の惑星』『ライオン・キング』『パイレーツ・オブ・カリビアン』など数々の映画音楽を手がけた巨匠ハンス・ジマーの楽曲を劇場上映するコンサート映画である。2024年にイギリスなど13カ国を巡回したツアーの中から、ハンス・ジマーが特別出演したポーランド・クラクフでの公演が丸ごと収録されている。
長年の芸術パートナーである指揮者ギャビン・グリーナウェイが指揮を担当。オデッサ・オーケストラ&フレンズ、ナイロビ室内合唱団、さらにはリサ・ジェラード、レボ・エム、ルサンダ・パンフィリ、村中麻里子といった世界有数の音楽家たちとともに、ジマーが手がけた映画音楽の名曲の世界へと観客をいざなう。
映画の醍醐味を引き立てる音楽の力
ハンス・ジマーは、これまでに計12回もアカデミー賞にノミネート(内受賞2回)されるなど、最も著名な映画音楽作曲家の一人だ。その彼の作品が、映画の名シーンとともにフルオーケストラで演奏され、その豊かで深い音楽世界に没入することができるのが本作品の魅力である。
コンサートでの特別演奏を通して、改めて映画音楽が、作品としての映画に深い陰影を与え、その醍醐味を大きく引き出していることに気づかされる。
本映画では、クリストファー・ノーラン監督とタッグ組んだ映画『バットマン ダークナイト』の楽曲も演奏されるが、ダーク・ヒーロー映画としての『バットマン』の魅力が、音楽によっても見事に描かれていたことに新鮮な驚きを感じさせる。
大川隆法・幸福の科学総裁は著書『メシアの法』の中で、命をかけて他の人々に尽くす生き方を選ぶ救世主的な存在を説明する喩えとして、この映画『バットマン』を例に引いている。
「ゴッサム・シティを乗っ取ろうとしていた悪と戦っただけでなくて、ザ・バットという空を飛ぶ乗り物─自動操縦になっていると思われていたものですけれども─に爆発寸前の中性子爆弾をぶら下げて、沖までそれを運んでいき、そこでバッカーンと爆発したので、街の人は助かるというような最後が出てくるわけです。
そのときに、『これだけ物を失って、やれるだけのことをやったのだから、もういいじゃないか』というようなことを言われても、『まだだ!』と言うわけです。それが、やはり、何と言うか、アメリカン・ヒーローとして描かれた、"ある種の救世主の姿"なのだろうなと思うのです。
ですから、最後には、どうしても、『自分の命まで懸けるところまで行く』ということです。これは分からなくてはいけないのです」
このシーンには、バットマンのセリフはほとんどなく、その心の内を描いているのはジマーの音楽でもある。
これまで映画シーンの背景として単調に流される傾向が強かった映画音楽の役割を、演出効果の一部にまで高めることに成功させたジマーは、映画の付加価値を音楽によって一段と深めたと言えるだろう。
決して近道を選ばない水面下の努力
映画音楽の作曲家として頂点を極めたハンス・ジマーだが、その陰には人知れぬ数々の努力や研鑽があったことも、この映画からは垣間見える。
ある映画の音楽として、スロバキアのジプシー音楽が適していると考えたジマーは現地に足を運び、ジブシーの人々の間に分け入り、彼らの中から選りすぐり演奏者を選び出し、ウィーンにまで連れて行って収録をした。また、別の映画では、荘厳さを醸し出すために、中世の教会の礼拝堂で収録を行い、たまたま収録中に落ちた稲妻の轟音がそのまま生かされているのだという。
ディズニーのアニメ映画『ライオン・キング』の楽曲作成に際しては、南アフリカのミュージシャンを登用し、アフリカ的な音楽を取り入れることに精力を傾けたと語っている。また、6歳で、父を失った自身の体験もこの映画音楽には深く投影されているのだという。
常に新たな挑戦をし続けることの大切さについて、大川総裁は著書『未来の法』の中で次のように指摘している。
「上の立場にある人が器を大きくするためには、どうすればよいのでしょうか。
それは『永遠の挑戦』をしていくことです。簡単に出来上がらず、『自分の成功は、これで完成した。最終点に到達した』と思わないことが大事です。
そして、『まだまだ、これからだ。毎年毎年、前進し、成長していこう。能力的にも、経験的にも、知識的にも、いろいろな面で成長しよう』と思うことです。
もちろん、年を取れば体力や気力は衰えてきますが、体力や気力の衰えを、知識や経験、あるいは、深い洞察力で補い、『別なかたちで成長し続けよう』と思うことです」
期待に応えるべく、常に全力を尽くし、新しい領域にチャレンジし続けてきたことが、ジマーが30年にわたって世界の第一線で活躍し続けた秘訣でもあるのだろう。
登場人物の心の内を音楽で描く
特に、ジマーの音楽で印象的なのは、登場人物の心の内まで分け入り、その心境の奥底までを描き出そうとするところである。その代表的な作品は、やはりラッセル・クロウが熱演した映画『グラディエーター』だろう。
映画の冒頭で、一日も早く故郷ローマに帰りたいと願う主人公の心の中を、柔らかな音色で描き出しながら、ガリアの奥地で蛮族たちと死闘を演じるまでを途切れのない一連の音楽で描ききったシーンは、映画史上に残るものだと言えるのではないだろうか。また、ローマのコロッセウムで命をかけた戦いに臨み、祖国ローマのために命を捧げるグラディエーターの勇壮な死に様を描いた楽曲は、観る者の心に深い印象を与えずにはおかなかった。
その他にも、本作品では、人類の宇宙体験を描いた『インターステラー』やSF宇宙映画『DUNE デューン 砂の惑星』など、宇宙的視点から取り組まれた楽曲も演奏されており、現代世界を代表する作曲家としてのハンス・ジマーの仕事が余すところなく表現されている。
映画音楽への取り組みを通じて映画の付加価値を上げ、見る人たちに深い感銘と喜びを与え続けてきたハンス・ジマーの世界を描いたこの作品は、音楽の持つ神秘的な力について、改めて考えるヒントにもなるだろう。
『ワールド・オブ・ハンス・ジマー 新次元へ』
- 【公開日】
- 全国公開中
- 【スタッフ】
- 監督:マティアス・グレビング
- 【キャスト】
- 出演:ハンス・ジマーほか
- 【その他】
- 2025年製作 | 144分 | ドイツ
公式サイト https://www.culture-ville.jp/twohz
【関連書籍】
いずれも 大川隆法著 幸福の科学出版
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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