首都直下地震の新想定で問題視された「停電1.3倍」「キャッシュレス機能不全」 ─ デジタルだけでなくアナログを残すことも重要な災害・有事対策

2025.12.20

《ニュース》

政府の有識者会議が「首都直下地震」の新たな被害想定をまとめた報告書を公表しました。マグニチュード7級の地震が起こると最悪の場合、死者が1万8千人、全壊・焼失する建物が40万棟に上る被害を想定。また、電力復旧に最大1カ月かかることで大きな混乱が生まれると懸念されています。

《詳細》

前回の被害想定は2013年に算出されていますが、経済被害は今回、13%減の82兆円、住宅や建物など資産への被害は5%減の45兆円、交通網寸断やサプライチェーンの途絶などによる生産・サービスの低下による被害は21%減の37兆円となりました。古い木造家屋の建て替えが進んだことや、大企業が事業継続計画を策定し、災害時にも事業を継続する計画を立てていることを理由としています。

一方で、停電の規模は前回の1.3倍と見積もりました。都市部の人口が増加していること、東京湾沿岸の火力発電所が被災した場合、復旧に1カ月ほどかかると見られているためです。被災直後は、首都圏でおよそ半数の世帯で停電となり、1週間後には大半の世帯で復旧するものの、電線などの復旧が遅れれば首都の企業活動にも影響が出ると想定しました。

また、停電に伴い、固定電話回線やインターネット回線の約半数が不通となり、携帯電話の基地局も半分が停波する事態が想定されています。被災直後はキャッシュレス決済が使用できなくなり、ATMも停止し、金融機関の支店も営業停止に陥る可能性があるとして、報告書は「一定の現金を手元に用意しておくことが望ましい」と指摘しています。

20日付日経新聞では、成城大学の中田真佐男教授が、キャッシュレス決済が使えなくなり消費行動が滞ると、「被災下でも継続可能な経済活動まで影響が及ぶ可能性」を指摘。デジタル化が進んだ状況下で大規模地震に襲われたケースは過去に例がなく、生活が一気に機能不全に陥る可能性があることを指摘しています。

《どう見るか》

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タグ: インターネット  首都直下地震  電気  キャッシュレス  ATM  防災  停電  現金 

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