釈量子の宗教立国への道 [第19回] ─ 憲法改正には手続き論より哲学を

2025.12.24

2026年2月号記事

第19回

釈量子の宗教立国への道

幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

憲法改正には手続き論より哲学を

第十五条

新・日本国憲法 試案〔第十五条〕

本憲法により、旧憲法を廃止する。
本憲法は大統領の同意のもと、
国会の総議員の過半数以上の提案を経て、
国民投票で改正される。

『新・日本国憲法 試案』
大川隆法著
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憲法試案〔第十五条〕は、「改正手続き」について定められています。大川隆法・幸福実現党総裁は「今は憲法の改正が非常に厳しいので、もう少し容易に改正できるようにしました」(*1)と趣旨を述べています。

戦後、時代は大きく変わり、安全保障環境も変わっているにもかかわらず、現行憲法は一度も改正されていません。他国を見れば、戦後だけでも、アメリカは6回、ドイツは67回、お隣の韓国でも9回の改正が行われています。

大川総裁の「新・日本国憲法試案」は、「憲法には必要最低限のことを定め、あとは法律に委ねる」(*1)という考え方で、前文も含めた全十七条に絞り込まれています。国家の理念や枠組みを定め、細かい内容は時代に合わせた法律を制定していけばよいわけです。

それでも五十年、百年と経つうちにひずみが生まれる可能性もあるため、憲法は「総議員の過半数以上」と「国民投票」を経るという改正の要件が示されたのです。

(*1)『新・日本国憲法試案

「搦め手」からの改正がもたらす弊害

ただ、現行憲法下で憲法の中身を議論せず、どの条文でも安易に改正ができる状態にすることについて、大川総裁は懸念を示しています。

そもそも憲法の硬性性が高いのは、憲法が簡単に変えられて国家が不安定になったり、国民の権利が侵害されたりすることを防ぐためです。

大川総裁は「憲法九条自体が国民主権に違反している」(*2)と指摘し、自分の国を自分で守れない状況は早急に変えるべきだと訴えています。しかしながら、改正内容の議論が十分に尽くされていない状況で、政権交代のたびに憲法が極端に変わる可能性を生むことは、望ましくありません。

憲法改正の最大のチャンスが訪れたのが、第三次安倍内閣の時です。2016年7月の参院選で与党などの「改憲勢力」が衆参両院で3分の2を占め、憲法改正の発議が可能となりました。これは実に60年ぶりのことでした。

ところが安倍晋三首相は、「本丸」の憲法九条改正の議論を避け、改正要件を定めた憲法九十六条について、各議院の総議員の「三分の二」の賛成で改正の発議ができるところ、「二分の一」で行えるようにする改正提案を行いました。

「改憲勢力」とされた政党には、「憲法九条改正に反対」という公明党や、「高等教育を含めた教育無償化や道州制について憲法改正を行うべき」と主張する日本維新の会も含まれており、九条改正の合意は困難ではあったでしょう。そこである意味「搦め手」から入り、憲法改正の実績を作ろうとしたわけです。

これに対して大川総裁は「どこを変えられるか、分からないのですから、『これには少し危険がある』と見ざるをえない」「物事には優先順位があります」(*3)と述べ、いちばん大事な憲法九条の議論から進めるべきであると訴えました。

安倍首相は2017年、「憲法に自衛隊の存在を明記する」という「加憲案」を示しました。しかし、戦力不保持と交戦権の否認を定めた九条一項・二項を維持したまま自衛隊の存在を明記しても、「自衛隊は戦力ではなく、軍隊として戦えない」という問題は変わらず、むしろ「自衛隊は軍隊ではない」ことが明文化されてしまう危険性があります。

(*2)『正義の法
(*3)法話『幸福への決断』

憲法改正に必要な哲学

憲法とは、国家の根本理念を示すものであり、そこには「精神的主柱」、すなわち神仏への信仰心が必要です。ゆえに憲法改正は、単なる手続き論や技術論に終わってはならないと考えます。

改正にあたっては、本憲法試案が照らし出すような、「日本はどのような国を目指すのか」「世界の中でどのような役割を果たすべきか」といった哲学や善悪、価値観が必要です。

幸福実現党は価値観を教える宗教に基づいた政治を目指す、本格的な宗教政党です。憲法改正の議論を通じて、日本に精神の柱を打ち立てていきたいと志しています。

※文中や注の特に断りのない『 』は、いずれも大川隆法著、幸福の科学出版刊。

国会議事堂(写真:ピクスタ)。

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