FRBが成長率見通しを下方修正

2011.06.25

米連邦準備理事会(FRB)は、22日、3.1%~3.3%としていたアメリカの今年の経済成長率の見通しを、2.7%~2.9%に下方修正した。東日本大震災と、世界的なエネルギー価格の高騰が主因。昨年秋から続けていた国債買い取りなどの量的金融緩和第2弾も、今月末で予定通り終了する。

FRBの金融政策をめぐっては、第3弾の量的緩和が必要だという声もある一方、FRBのこれまでの資産購入によって市場に流入したマネーは、資源や食品などの商品市場に流れてインフレをつくりだし、逆にアメリカ経済へのリスクになっている。24日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で「マネーの調達が簡単になるのは、危機の時には好ましいし、しばらくの間は資産価格の維持につながる。しかし、そうしたマネーが持続可能な回復を創り出すわけではなく、バブルや(商品の)高価格となって、成長率や中産階級の所得を脅かしかねない」と論じている。

アメリカ経済の最大の問題といえば9.1%と高止まりを続ける失業率だが、この金融政策と失業率の問題をあわせると、アメリカの取るべき方向性が見えてくる。それは、国内に新たな基幹産業を養成することで、大幅な雇用創出を目指し、海外への投資マネーの流出を抑えるという方策である。

2001年にノーベル経済学賞を受賞したマイケル・スペンス氏は、24日付のウォールストリート・ジャーナル紙上で、「先進製造業やエネルギー技術への幅広い官民投資は、比較的高給で、資本集約型の雇用を創出することができる。政府との共同出資のかたちをとれば、民間の負担を抑え、輸出可能な産業での雇用機会を拡大することができる」と論じている。

アメリカでは財政赤字の問題から、政府歳費の大幅な削減を求める声が保守派を中心に高まっている。しかし、将来の基幹産業を生む堅実な投資を怠ることなく、経済成長と雇用を回復してこそ、景気は上向き、財政赤字の問題も改善させることができる。


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