井深大(いぶか まさる)・八田與一(はった よいち)に学ぶ ─ これぞ本物の「ものづくり精神」
2025.10.29
2025年12月号記事
井深大・八田與一に学ぶ
これぞ本物の「ものづくり精神」
すべての仕事人を奮い立たせる、日本が誇るエンジニアたちの「創造」の物語に迫る。
写真:AP/アフロ
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ソニー創業者 井深大 (1908~1997年)
「わっ」と喜ぶ人々が見えたら、
その製品はもう"できている"。
戦後、「メイド・イン・ジャパン」の名を世界にとどろかせたソニー。その創造性には、一つの原風景がある。
創業者の井深大は神戸一中時代、無線づくりに没頭した。大正期、ラジオもないころだった。千葉県銚子から船舶用に時報無線が飛んでいると聞き、「はるかな距離を超えて、受信してみたい」とロマンに燃えた。
独学で配線した無線機に、こづかいで買った真空管をつなぐ。アンテナを立て、スイッチを入れると、「ブーン」という雑音と共に、真空管が光って部屋を照らした。コンデンサーを調整すると──「ツーツー」という音が聞こえて来た。
「初めて無線を聴けた感激は、いまもって忘れようとしても忘れ去ることができない」
その驚きと喜びは、近所にも波及する。当時、選挙の開票速報は、新聞屋に貼りだされるのが常だった。だが井深は、試験放送されていたラジオの内容を、自作無線で聴き、人々に伝える。ひと足早い内容に皆、目を丸くし、家の前に人だかりができた。
これが、後にソニーが世界を相手にやったことの、原点と言える。
次ページからのポイント(有料記事)
ソニー創業者 井深大
・ポケッタブルラジオの奇跡
・涙のカラーテレビ
台湾水利の父 八田與一
・世界初のダム工法
・逆転の三年輪作法
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