【名画座リバティ (12)】美しい記憶
2025.10.05
『黄泉がえり』東宝DVD/『星に願いを。』パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパンより。
皆様、お元気ですか。
早いもので、女優・竹内結子が亡くなってから9月27日で五年が経ちました。今回は、竹内結子の出演作品から若き日の2本をご紹介します。
1本目は『黄泉がえり』(2003年)。死者たちの蘇りというスピリチュアルな出来事をめぐるヒューマン・サスペンスです。3か月以上のロングラン大ヒットとなったので、ご覧になった方も多いでしょう。撮影当時22歳の竹内結子は本作で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞しています。
(あらすじ)
九州の阿蘇地域で、死者が次々に蘇り家族のもとに現れるという超常現象が起きる。阿蘇出身の厚労省官僚・平太(草彅剛)は東京から現地入りし、地元の幼なじみ葵(竹内)と協力して調査を始める。山中の巨大な隕石口から発するエネルギーと、死者に対する生者の思いが作用してこの現象が起きていることが推測されたが、実は二人自身もこの「黄泉がえり」現象と無関係ではなかった──。
2本目は『黄泉がえり』ほど有名ではありませんが、同じく2003年の佳品『星に願いを。』。香港映画をリメイクしたファンタジー・ロマンスです。こちらは北海道・函館が舞台であり、こぢんまりと美しい風景のなかで展開するピュアで切ないストーリーはコアな竹内ファンに愛され続けています。
(あらすじ)
看護師の奏(かな・竹内)は、事故で視力と発声能力を失った笙吾(しょうご)のリハビリを助け、彼と心を通わせる。ある日笙吾は交通事故で亡くなるが、流れ星の力で三日間だけ、視力と声を取り戻してこの世にとどまることを許される。周囲には彼が笙吾とわからず、名乗ればそこで消えてしまうという条件のもと、彼は悲しみにくれる奏に感謝と想いを伝えようとする。
竹内結子は2本とも、生者と死者の交流、この世とあの世の境界線を体験するヒロインを演じています。彼女の最大のヒット作『いま、会いにゆきます』(2004年)でも、それ絡みの役柄であり、この人ほどスピリチュアルな物語のヒロインに起用されて成功を収めた女優はいないでしょう。
非現実的なドラマにリアリティ、説得力、感動をもたらす、その演技力、存在感そして美貌──。はかない死を描いたドラマが、この世を超えて続く魂の輝き、永遠の生命の存在を教えてくれるものであれば、それは人を霊的人生観に目覚めさせるよすがとなります。スピリチュアル女優・竹内結子は、「永遠の生命」を信じてこの世の人生を生きるべきことを伝えてくれたのではないでしょうか。
普通の意味で見応えがあるのは『黄泉がえり』のほうですが、こちらの主演は草彅剛であり、蘇りを経験する人びとの群像劇も描かれ、竹内結子のウェイトはそこまで重くないので、彼女の魅力を堪能したい方には『星に願いを。』をお勧めします。救急治療室で笙吾の死亡に直面した際の茫然自失や、見知らぬ男性が実は笙吾ではないかと直感する瞬間の表情は、演技を超えた魂の震えを感じさせ、観る者の心も震えさせずにはおきません。
竹内結子という名の美しい記憶は、今も映画のなかに咲き続けています。
(田中 司)
『黄泉がえり』
- 【スタッフ】
- 監督:塩田明彦
- 【キャスト】
- 出演:草彅剛 竹内結子 石田ゆり子 ほか
- 【その他】
- 2003年製作 | 126分
『星に願いを。』
- 【スタッフ】
- 監督:冨樫 森
- 【キャスト】
- 出演:竹内結子 吉沢悠 國村隼 ほか
- 【その他】
- 2003年製作 | 106分
いずれもDVD、各種配信で視聴できます。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内
YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画