【名画座リバティ (11)】永遠の名作をスクリーンで──『ローマの休日』

2025.09.14

『ローマの休日』より。

映画を愛する皆様、こんにちは。

ついにこの超名作にスクリーンで逢える機会がやってきました。古今東西、映画は何百万本あれど、広く永く愛され続けている点で比類なき名作『ローマの休日』です。今週から「午前十時の映画祭」で劇場公開されます。

(あらすじ)

ヨーロッパ某国のアン王女(オードリー・ヘップバーン)は外国を親善歴訪中、多忙なスケジュールと窮屈さが嫌になり、ローマで深夜に大使館を抜け出す。アメリカ人の新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)に出会ったアンは身分を隠すが、ジョーは王女のお忍びを特ダネスクープにしようと、彼女が女王と気づかないフリをしてローマ観光に連れ回す。王女を捜索する母国の秘密警察が入国する中、二人の間に愛が芽生え……。

名作なのでご存じの方が多いと思いますが、あなたは本作を劇場のスクリーンでご覧になったことはありますか? 筆者に言わせれば、テレビその他の小さな画面でしか観たことがない方は、本作の魅力を半分しか体験していません。スマホで手軽に観られる時代に、映画をスクリーンで観ることの意味とは何か。小説家で映画にも造詣が深かった辻邦生(1925~1999)はこう書いています。

「ビデオで映画を見るのは、ちょうど本を読むのと似た意味において、映画を読むことであるからだ。〈映画を見る〉のと〈映画を読む〉のとでは、同じ映画に対して別の姿勢で接することになる。〈映画を見る〉とは(中略、映画館で)『感じる』ことが主軸となる。これに反して〈映画を読む〉とは、映画を『知る』ことであり、たとえ感情を動かすことがあっても、それは自意識の光の下においてである。映画館では完全に自分を忘れ、感情の流れに同化する。『感じる』点では、このほうが全身的であり、はるかに強烈だ」(『美しい人生の階段 映画ノート '88~'92』)

辻によれば、〈映画を見る〉とは映画館で自分を忘れ、全身で「感じる」ことです。一方ビデオでの鑑賞は〈映画を読む〉あるいは「知る」ことであり、「自意識の光の下」における行為です。ならば、今時のパソコンやスマホでの鑑賞も映画を「読んで」いるのであり、そこには自意識という名の自己中心性が色濃く介在せざるを得ません。自分を忘れ、没入して作品の美を「感じる」には、映画館の暗闇と大スクリーンに如(し)く環境はないのです。

『ローマの休日』の美の中心は、もちろん主演オードリーの美しさです。大川隆法・幸福の科学総裁の霊言によれば、オードリーは現代の日本に女優・武井咲として生まれ変わっています。総裁は武井咲の守護霊霊言『時間よ、止まれ。─女優・武井咲とその時代─』のあとがきで、こう述べています。

おそらくは『ローマの休日』の頃のヘップバーンが世界で一番、無邪気で清楚な美しさを演じ切っていたと思う

あなたは、「世界で一番、無邪気で清楚な」女優の輝き、その妖精あるいは女神のような美しさを、自意識の支配のもとで「知る」だけで満足できますか。映画館の孤独で親密な聖域で、その魅力を全身で「感じて」みたいとは思いませんか。アン王女とジョーは、互いに身分違いの恋だとわかっていても、こらえきれず何度かキスを交わします。日常空間の小さな画面でそのキスシーンを見るより、日常から切り離された映画館の暗がりの中で二人の熱い口づけを目にすることで、私たちは彼らの切なく燃える想いを魂で感じることができます。まるで自分の手が相手の肩を抱き締め、自分の心が許されぬ恋に泣いているかのように。

なお本作のオードリーについては小川知子さんの守護霊も、「大理石を切り出したままのような演技」という秀抜な比喩を交えて、プロの女優ならではの観点からさまざまに語っています(『女神の条件 女優・小川知子の守護霊が語る成功の秘密』)。こちらも一読してから鑑賞されると、本作をより深く楽しめるでしょう。

ここで語り切れない本作の魅力は拙著『「仏法真理」で読み解く名作映画〈洋画編〉』(幸福の科学出版)に書きましたので、よろしければご覧ください。最後に同書から、本作について書いた章の結論部分を引用します。

「筆者の手元にある同作のDVDジャケットにはこんなコピーが書かれています。『永遠に続く、たった一日の恋』。この世の無常がネガのように指し示す、永遠の世界。『ローマの休日』は、女神の魂を持つオードリー・ヘップバーンが、その天性の美の力により、観る人に『永遠』という真理への憧れを呼び覚ましてくれる稀有なる一本であると思います」

撮影当時23歳のオードリーの美しさは、118分という有限の枠の中に"時間を止めて"封印されています。私たちは映画館で、それがスクリーンの擬似空間に光となって解き放たれ、永遠の美が時を超えて息づく時間を共に生きることができます。「永遠」という真理の存在を感じさせてくれる、本物の美。それを見せてくれる『ローマの休日』は、やはり永遠の名作です。

(田中 司)

『ローマの休日』

【公開日】
2025年9月19日~10月16日(劇場により異なります)
【スタッフ】
監督:ウィリアム・ワイラー 脚本:ダルトン・トランボ
【キャスト】
出演:オードリー・ヘップバーン グレゴリー・ペックほか
【その他】
1953年製作 | アメリカ | 118分

公式サイト https://asa10.eiga.com/2025/cinema/1425/

【関連書籍】

『時間よ、止まれ。─女優・武井咲とその時代─』

大川隆法著 幸福の科学出版

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『女神の条件 女優・小川知子の守護霊が語る成功の秘密』

大川隆法著 幸福の科学出版

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タグ: 名作  ローマの休日  名画座リバティ  オードリー・ヘップバーン  グレゴリー・ペック  午前十時の映画祭  守護霊  映画館 

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