ロシアが停戦条件で「NATO拡大停止」などを要求 ─ ロシアとウクライナの直接交渉で前進するも、対露制裁強化は停戦を遠のかせる愚策だ

2025.05.30

《ニュース》

6月2日に行われるロシアとウクライナの直接交渉が近づく中、ロシアが「危機の根本解決」として提示するとみられる停戦条件について、ロイター通信がスクープしました。

《詳細》

ウクライナ戦争をめぐる停戦交渉は、2月の米露外相会談以来、長期化しています。

5月9日の対独戦勝80周年記念式典を迎える前に、トランプ米大統領はロシアとウクライナに対し、「30日間の停戦」を改めて求めました。これを受け、プーチン露大統領は11日に、前提条件なしでのウクライナとの直接交渉を提案。トランプ氏がこれを歓迎するも、ゼレンスキー宇大統領は30日間の停戦条件つきで受け入れると表明し、ロシアからプーチン大統領の発言の趣旨を理解していないと批判され、直接交渉に同意しました。

その交渉が迫る中、ロイターがこのほど、ロシアが提示する停戦条件には、「北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大の停止を書面で誓約」「西側諸国による対露制裁の一部解除と、凍結されたロシア政府資産問題の解決」「ウクライナの中立化」「ウクライナでロシア語を話す人々の保護」などがあると報道。ロシアはこれらの条件をのまなければ、何年も戦い続ける構えです。

一方のウクライナは、領土問題をいったん棚上げし、ウクライナのNATO加盟に匹敵する安全保障を求め、さらにアメリカが引き続き関与するよう要求しています。つまり、ウクライナは事実上の敗戦国であるにもかかわらず、「すべて」を要求していると言えます。

すると、ウクライナと後援する欧州が、ロシアが示す停戦条件に同意する可能性は低く、「停戦する気がない」という言葉の応酬が起きるとみられます。同時にウクライナは、トランプ政権と米議会に対し、ロシア制裁(特にエネルギー)を強化するよう圧力を加え、アメリカを抱き込もうとするという見方が浮上しています。

しかし、トランプ政権はもはや戦争の当事国ではなく、「停戦を仲介する中立国」という役割に転じました。制裁を強化してロシアを追い込むことは、仲介国としての立場を損ねることになります。さらに、泥沼化する戦争が一層エスカレートし(北朝鮮の対露支援の大幅強化など)、停戦自体が非常に困難になりかねません。

トランプ政権のケロッグ特使(ウクライナ担当)は5月29日に、NATO拡大に対するロシアの懸念は「妥当」との認識を示し、ロシア側に理解を示すメッセージを発しています。

《どう見るか》

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タグ: 外交  NATO  トランプ  制裁  停戦  ウクライナ  ロシア 

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