デジタル教科書先進国のスウェーデンが「紙の教科書に回帰」など、教育現場でのデジタル機器使用の見直し始まる 「集中力を削ぐ」ことに各国が警戒
2023.10.03
《ニュース》
「学校での携帯電話の使用禁止」「タブレットの使用禁止」が進む欧州で、「紙の教科書」が見直され始めています。
《詳細》
イングランドの学校内で携帯電話の使用を禁止する方針であると、イギリスのキーガン教育相が発表しました。2日に開かれた保守党の党大会で発表したもので、携帯電話の使用を授業中だけでなく休み時間も禁止し、医学的な理由で必要な場合のみ例外とするといいます。
キーガン氏は「子供たちが教室で集中し、その潜在能力を最大限に発揮するために必要な教育を受けることができるようになる」と話し、14歳の生徒の約4割が、携帯電話が授業の邪魔になったとしている、と報告しました。
学校でのデジタル機器の使用は、欧州各国で問題となっており、すでにフランスで2018年に、幼稚園や小中学校で、スマホやタブレットなどインターネットにつながった機器の使用を禁止。オランダでも来年1月1日から、携帯電話やタブレット、スマートウォッチを教室で使用することを禁止する方針を出しました。
さらに、授業でのデジタル機器の導入についても見直しが始まっています。
スウェーデンは2010年から「1人1台」のデジタル端末を持たせるプロジェクトを進め、14年には実現。紙の教科書を廃止し、デジタル教科書に完全移行していました。ところが、16年から21年にかけての国際読解力調査においてスウェーデンの成績が低下したことが問題となりました。
22年に就任したエドホルム教育大臣はデジタル教科書の推進を一転。今年3月には、「学生たちが勉強するには、物理的な本が重要である」と表明し、エドホルム氏は8月、「6歳未満の子供のデジタル学習」を完全に廃止する計画であると、AP通信に語っています。
スウェーデン政府は2023年に、紙の教科書と書籍の購入に約90億円相当の投資を行うと発表。そして24年、25年には毎年約66億円ずつ増額し、紙への回帰をさらに進める方針です。23年8月には、スウェーデンのカロリンスカ研究所が「学校におけるデジタル化によって期待されるプラスの効果は実証されていない」という声明を発表しました。
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