さらなる論争を呼ぶ「FBIがカトリック教徒を調査対象に」 一支局の独断ではなく、広範な組織的指針だったことが明らかに
2023.08.16
画像:Bob Korn / Shutterstock.com
《ニュース》
米連邦捜査局(FBI)が、伝統的なカトリック教徒を「暴力的な過激主義者」であると見なし捜査を推奨していた件について、FBIは「一支局による単一の行動」としていましたが、より広範に及ぶ組織的指針であったことが明らかになり、論争を呼んでいます。
《詳細》
今年2月、FBIが一部の伝統的なカトリック教徒に対し、「暴力的な過激主義者」であるとした上で、捜査を推奨する内部文書が流出しスキャンダルになりました(詳細は関連記事:https://the-liberty.com/article/20370/)。
FBIバージニア州・リッチモンド支局の1月レポートを、内部告発者がリークしたことにより発覚。リークされた文書によれば、「原理的・伝統的なカトリック教徒」は、ラテン民族への献身によって特徴づけられており、「反ユダヤ的、反移民的、そして反LGBTQ的な信条、および白人至上主義的なイデオロギーを持つことが頻繁に起きる」とのことです。
さらに同文書は、「極右の白人によるナショナリスト運動」とカトリック教徒の動きが重なり合っていると指摘。現象を調査するため、さらなる捜査を推奨。少なくとも一人のエージェントが、リッチモンドの教会で礼拝に参加しているカトリック教徒をスパイするよう送り込まれていたことが明らかになっています。
教会で祈りを捧げるだけで、政府の"調査対象"になっていたということです。
特定の宗教を弾圧すると読み取れるような内容を受け、共和党議員を中心にFBIの説明責任を問う声があがり、FBI長官のクリストファー・レイ氏は7月、下院司法委員会に対し「一支局による単一の行動」だと回答。「それ(流出したレポート)を知ってすぐに、私は愕然とし、それをFBIのシステムから取り下げて削除するよう命じた」とし、内部調査を開始したと述べていました。
しかし下院司法委員会が8月9日に公開したFBIの内部文書により、リッチモンド支局だけでなく、ポートランド支局やロサンゼルス支局も伝統的カトリック教徒を調査対象としていたことに加え、これらの支局が連携して報告書を作成していたことが明らかになりました。「一支局による単一の行動」ではなく、FBIによる広範な取り組みであったということです。
さらに問題視されているのが、リークされた文書の原版の提出を求められたFBIが、ポートランド支局やロサンゼルス支局の役割を削除した上で3月、議会に文書を提出していたことです。国内のカトリック教徒に対し、FBI内で広範にわたる捜査がなされていたことを隠蔽しようとした意図が指摘されています。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、文書がリークされた2月にもこの件を取り上げましたが、この度の新事実を受け8月9日、「FBIと"過激な"カトリック教徒」と題した社説を掲載。FBIによる広範な捜査が行われていたことを受け、「なぜFBI内で宗教への不信感がこれほど広がっているのか」疑問を呈した上で、捜査があった事実を隠蔽しようとした意図を鋭く指摘すると共に、FBIに対して国民への説明責任を求めています。
下院司法委員会のジム・ジョーダン委員長は9日、レイFBI長官に送った書簡で、「伝統的なカトリック教徒が潜在的な国内テロリストであるというFBIの評価」について、「その性質と範囲」を十分に説明するよう要求。今後の展開に注目が集まります。
FBIをめぐっては8月9日、バイデン大統領の殺害などをSNSに投稿したとされるユタ州の70代男性を射殺した件についても、同男性の身体が不自由であったことを含め、射殺に至った詳細な経緯が明らかにされておらず、説明責任を問われています。
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