米公電が示す「陸自10万人増強」の必要性
2011.05.08
朝日新聞が内部告発サイト「ウィキリークス」から提供を受けた日本がらみの外交公電について分析し、7日付朝刊で報じている。この中で米外交官が日本各地の原発を視察した内容が注目に値する。
米大使館員は06年11月に新潟県の東京電力柏崎刈羽原発を訪問した後の公電で、武装警察官の配置の有無、警察と海上保安庁の連携ぶりを報告。同時期の中国電力島根原発への視察報告では、外周フェンスや侵入者探知センサー、監視カメラの設置状況などが記入されていたという。
07年2月に米国務省の原子力担当者が訪日し、文部科学省の担当者と会談した際に、米側は「茨城県東海村の原子力関連施設に武装警備がない」と指摘。日本側担当者が「必要性を判断するのは電力会社と警察だ」と答えたことも報告されたという。
朝日新聞は、米側が「日本の原発の警備は手薄だ」と指摘しているのを驚きを持って報じているわけだが、それだけにとどまっている。問題は、「なぜ日本は陸軍(陸上自衛隊)が原発を常時警備しないのか」ということだ。
日本の陸上自衛隊の規模は現在計15万人程度だが、東京の中枢地区、原発、石油コンビナートなどに対する十分な陸自の警備体制をつくろうとすれば、計25万人以上が必要とされる。朝日新聞はそれに一切触れていない。この外交公電が浮き彫りにしているのは、世界の常識でいけば、日本は陸自を10万人規模で増強しなければならないという現実だ。(織)
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