ビンラディン殺害も、大勢に影響なし イスラム原理主義が台頭へ

2011.05.03

米同時テロの首謀者として手配されていた国際テロ組織アルカイダの最高指導者ウサマ・ビンラディン氏をパキスタンで殺害したとオバマ大統領が1日夜、発表した。同時にオバマ大統領は「今後もアルカイダとの戦いは続く」と述べており、アルカイダや旧支配勢力タリバンを掃討するためのアフガン戦争は継続される。

2011年から10年続くアメリカによるテロ戦争はどう展開するのだろうか。

アルカイダは91年の湾岸戦争後、ビンラディンの財力で立ち上げられたものだが、今は明確な指揮命令系統があるわけではなく、各地の反米イスラム過激派がアルカイダを名乗り、テロ闘争を展開しているのが実態だ。

一方、オバマ大統領は就任後「イスラムとの対話」路線を打ち出し、その結果としてアラブ・中東の親米独裁政権の崩壊とイスラム原理主義勢力の復活が起こった。イエメンでは「アラビア半島のアルカイダ」掃討を進めるサレハ大統領の退陣が避けられない情勢だ。

つまり、アルカイダの象徴のビンラディンを排除したものの、オバマ大統領の外交政策そのものが、イスラム勢力とアルカイダ系組織の台頭を招いている。

幸福の科学グループ創始者、大川隆法総裁は、2003年のイラク戦争開始時にイスラム原理主義勢力に関して、アメリカの繁栄への嫉妬を指摘している。「アッラーの御加護があれば、最高に繁栄しなければいけないはずなのに、現実はそうではありません。それを自分たちの責任にするのではなく、『繁栄しているアメリカのほうが悪いのだ』ということで、そちらを叩きたくなっているわけです」(『宗教文明の激突』より)

ビンラディンは96年、アメリカとイスラエルをイスラムの共通の敵とし、「宗教と信仰を守るために戦うことは共同体としての義務」と宣言、数々の自爆テロを指揮した。アメリカへの嫉妬がイスラム諸国の側に根強くある限り、第二、第三のビンラディンが登場するとともに、イスラエル包囲網は強まる。

皮肉なことに、「イスラムとの対話」を標榜するオバマ大統領の下で、アルカイダ系組織によるテロ活動が活発化し、「アメリカ・イスラエル」対「イランを中心とするイスラム国家」との対立が一層深まる。ビンラディン殺害は大勢に影響はないだろう。(織)

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【5月2日分ニュースクリップ一覧】
ビンラディン殺害も、大勢に影響なし イスラム原理主義が台頭へ
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