「チベット寺院封鎖」と「三亜宣言」に見る中国の実態

2011.04.23

中国四川省チベット自治区アバ県で、中国当局の民族政策に反発するチベット僧とそれを支持する住民2千人余りが、チベット寺院に閉じ込められる事態が起きている。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマが発表した声明によると、先月16日、中国共産党による統治に抗議する青年僧が焼身自殺したことを機に、チベット住民と当局の対立が深まったためで、大規模なチベット人弾圧を招く懸念が出ている。

中国海南省では今月14日、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカで構成する新興5カ国(BRICS)首脳会議が開かれ、「(リビア情勢を巡っては)平和的な手段と対話を通じて、立場の違いを解決すべきだ」とする「三亜宣言」が発表されたばかり。これは欧米による軍事作戦に反対するもので、「BRICSは平等で公正な世界を作り出す」と明記されている。

中国の国際社会に対する建前と、内政における非人道性との解離は目を覆うばかりであり、その欺瞞ぶりはとても世界の先進国と言えるレベルではない。チベット自治区などへの民族弾圧の姿を見れば、中国の考える「平等で公正な世界」とは、当局の支配のもとに自由を奪われた世界にほかならないだろう。日本はこうした隣国の現状を直視する必要がある。国防上の危機が起こったとき、防災と同じ「想定外」の言い訳は通じない。(雅)

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