ポンペオ国務長官が中国を痛烈批判 「中国共産党から自由を守ることは現代の使命」
2020.07.25
23日、カリフォルニア州で、対中国政策に関するスピーチを行ったポンペオ米国務長官。写真:Ringo Chiu / Shutterstock.com
《本記事のポイント》
- 演説で、「習近平総書記は、全体主義イデオロギーの信奉者」
- 「中国国民と自由主義世界が、中国共産党の行動を変えさせる」
- 「今こそ、民主主義諸国の新たな同盟を構築する時」
ポンペオ米国務長官は23日(現地時間)、米カリフォルニア州のリチャード・ニクソン大統領図書館・博物館で、「共産主義の中国と自由世界の将来」という演説を行った。
これは、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)、米連邦捜査局(FBI)のレイ長官、バー司法長官に続く、トランプ政権による対中演説の第四弾。
その内容は、中国共産党と習近平国家主席を痛烈に批判するものであり、かつ社会主義国・ソ連の崩壊を引き合いに出しながら、中国共産党の変革を呼びかけるものだった。
「習近平総書記は、破綻した全体主義イデオロギーの真の信奉者」
ポンペオ氏は、中国が世界で影響力を増していることについて、「今後数十年の間に訪れる、厳しい真実を認めなければならない」と指摘。中国に支配されないためには、トランプ大統領が明確にしたように、「アメリカの経済と生き方を守る戦略」が必要だとした。
「もし自由な21世紀を望み、習近平氏が夢見る中国の世紀を望まなければ、中国が関与する盲目的な古い方法論は失敗するでしょう。私たちはそうした政策を続けてはならず、それに戻ってはいけません。(中略)自由な世界はこの新しい専制政治に打ち勝たなければなりません」
中国共産党については、「中国共産党政権は、マルクス・レーニン主義の政権であることを覚えておく必要があります」と念押しした。
習近平氏については、「習近平総書記は、破綻した全体主義イデオロギーの真の信奉者です。彼の数十年にわたる、中国共産党の世界覇権への願望を満たしているのは、この(全体主義の)イデオロギーです」と、名指しで強烈な批判を浴びせた。
アメリカは、もはや中国の政治体制とイデオロギーとの根本的な違いを無視できないというのだ。
中国共産党の行動を変えさせる
そしてポンペオ氏は、中国政府の行動がアメリカ国民やその繁栄を脅かしているため、「私たち、世界の自由を愛する国々は、より創造的で断固とした方法で、中国に変化を起こさせる必要があります」と確信的に述べた。
アメリカはもう、中国を他国と同じような国として扱うことはできないという。なぜなら、中国との貿易は不平等で不公正であり、中国からの留学生や従業員は中国共産党のために知的財産を盗んでいるためだ。
トランプ政権は21日、テキサス州ヒューストンにある中国総領事館を閉鎖した。これについて、ポンペオ氏は「スパイ活動と知的財産の窃盗の拠点だったからだ」と指摘。また南シナ海での中国の国際法遵守について、「(前政権の)8年間の侮辱に甘んじる方針を転換した」と語り、中国に公正さと互恵関係を強く求めている。
ポンペオ氏は、冷戦時代に陸軍にいたころ、ほとんどの共産主義者がいつも嘘をつくことを学んだと皮肉った。そして最大の嘘は、「監視され、抑圧され、発言するのを怖がっている14億人の中国国民を代弁していると、彼らが考えていること」だと述べた。
そして中国国民に対して、「中国共産党は、外敵よりも中国国民の正直な意見を恐れている」と呼びかけつつ、次のように強調した。
「しかし、中国共産党の行動を変えることは、中国国民だけの使命ではありません。自由国家は自由を守るために努力しなければなりません。それは簡単なことではありません。しかし、私にはそれができると信じています。私たちは以前にやったことがある(*ソ連崩壊を指す)ので、確信があります。私たちはこれがどのようになるか、知っています」
中国共産党の体制転換を明確に求めたわけではないが、その行動を変えていけば、ソ連で起きたようなことが中国でも起きると確信しているのだ。
今変わらなければ、中国共産党は必ず私たちの世界を変える
「今こそ、自由主義国家が行動する時です」
ポンペオ氏は、全ての国の全ての指導者に対し、「アメリカが行ったように、中国共産党に互恵主義、透明性、説明責任を迫ることから始める」よう呼びかけた。
現時点では、立ち上がる勇気のない国もある。しかし、「今、私たちが行動しなければ、最終的に中国共産党は、私たちの自由を侵食し、私たちの社会が懸命に築いてきた規則に基づく秩序を転覆させます。今、私たちが屈すれば、子孫たちは中国共産党のなすがままになっているかもしれません」と語りかけた。
ソ連は自由主義世界から締め出されたが、中国共産党はすでにその世界内にあり、この難題に一国で立ち向かうことはできないという。
「国連、NATO、G7諸国、G20、私たちの経済力、外交力、軍事力を組み合わせ、明確に方向性を示し、強力な勇気を持てば、この難題に対処するのに十分です。(中略)今こそ、志を同じくする国々の新たなグループ、民主主義諸国の新たな同盟を構築する時です。自由世界が変わらなければ、中国共産党は必ず私たちを変えるでしょう」
そして、「中国共産党から自由を守ることは、私たちの時代の使命であり、アメリカは建国の理念から、それを導く立場にあります」と締めくくった。
アメリカは、「世界の自由を守る」という使命に完全に目覚めている。ポンペオ氏が何度も指摘した通り、今がその時だ。中国が自由化・民主化することは、神の意志でもある。日本は勇気をもって立ち上がらなければならない。
(山本泉)
【関連書籍】
『ザ・リバティ』2020年8月号
幸福の科学出版 大川隆法著
【関連記事】
2020年7月23日付本欄 反中演説第三弾 バー米司法長官が愛国心を失った米企業を辛辣に批判
https://the-liberty.com/article/17416/
2020年7月10日付本欄 レイ米FBI長官が演説で、「中国のスパイ活動は10時間ごとに発生」と警告
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内
YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画