北海道がIR誘致を断念 カジノ推進の背景にある「浪費経済」の発想
2019.12.01
《本記事のポイント》
- 北海道がカジノ誘致の申請を見送り
- 地元の7割が誘致に「不安」だった
- カジノ推進の背景にある政府の哲学とは
北海道の鈴木直道知事は29日、統合型リゾート施設(IR)の誘致申請を見送ると表明した。
IRとは、ホテルやアミューズメント施設、国際展示場、カジノなどが揃う複合施設のこと。
日本では、2016年12月に統合型リゾート整備推進法(通称「カジノ法案」)が、18年7月には特定複合観光施設区域整備法(IR実施法)が成立した。それ以来、カジノを含むIRの建設について、議論が重ねられてきた。
一連の法整備により、IRが建設されるのは国内で最大3カ所。誘致を希望する地方自治体は、政府が公表した申請期間(2021年1月4日から7月30日)に政府へ申請する。
候補地として、長崎県(佐世保市)や大阪府(大阪市)、和歌山県(和歌山市)、神奈川県(横浜市)が既に誘致の申請を表明。また、愛知県(名古屋市)、東京都、千葉県(千葉市)が申請を検討している。
7割は誘致に「不安」
地方自治体がIRの誘致に積極的なのは、IRで地元の経済を立て直せる可能性があるためだ。新たな雇用が創出されたり、インフラの整備が進む。その結果、地元自治体の税収も増える。
北海道では、新千歳空港にも近く、最も経済効果の見込める場所として、苫小牧市が申請の準備を進めていた。
地元の苫小牧市議会は10月、誘致を推進する決議案を可決。道内の経済団体も誘致表明を求める「緊急共同宣言」を道に提出していた。
そうした中、鈴木直道知事は、誘致申請の見送りを表明。「候補地は希少な動植物が生息する可能性が高く、区域認定までの限られた期間で環境への適切な配慮を行うことは不可能」と議会で説明した。
ただ、今回の決定はあくまでも「見送り」であり、今後も誘致に向けた準備は進められていくという。
実は北海道では、誘致を不安視する声も少なくなかった。9月、道が道民を対象に実施した意向調査によると、回答した道民2500人のうち、約7割が誘致に「不安」と回答していた。
政府のカジノ推進から見える「浪費経済」
いくら経済的にメリットがあっても、北海道民のように、IRの誘致に「不安」を感じる人も少なくはない。それでも、政府がカジノを推進する背景には、「浪費の促進」の哲学がある。
カジノ推進の背景にある政府の哲学について、幸福の科学・大川隆法総裁は2016年12月、講演においてこう指摘していた。
「 政府が"あの手この手"で国民に消費をさせようとしていることや、景気対策をやりたいという気持ちもよく分からないわけではないのですが、根本的に、どうも、他人の懐、財布、預金通帳の中身を引きずり出して使おうとする傾向を感じるものがあって、すっきりしません 」(『繁栄への決断』)
この数年、政府は国民に「浪費」を促すような政策を次々と打ち出している。
例えば、日本銀行2016年1月、マイナス金利政策を実施。民間の金融機関が日銀に預けた預金の金利に、"罰金"が科せられるようになった。「何でもいいからお金を使え」というわけだ。
17年2月からは、毎月最終金曜日に終業時間を早めてイベントやセールなどのキャンペーンが行われる、「プレミアムフライデー」を実施。「仕事を切り上げて消費をしよう」という意図だ。
カジノ法案と同時期に審議されていた「休眠預金等活用法」は、18年1月から施行。10年以上の取引のない預金は、民間公益活動のために使われることになった。
21年の申請に向けて、全国各地で誘致の議論が重ねられているが、そもそも「浪費経済」を推進する考え方が地元のためになるのか、立ち止まって考える必要があるだろう。
本日発売の「ザ・リバティ」1月号では、カジノの実態を取り上げ、「カジノに頼らず繁栄する方法」を提示している。
(飯田知世)
【関連書籍】
大川隆法著 幸福の科学出版
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