地球温暖化対策で不満爆発 カナダ総選挙後に起きる保守派の抵抗運動
2019.11.22
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《本記事のポイント》
- カナダで、保守派が中心となった「カナダからの離脱運動」が起きている
- 選挙は自由党が勝利したが、得票率では保守党が上回っていた
- 地球温暖化対策などの環境政策が、景気を低迷させているという不満
カナダのジャスティン・トルドー首相が勝利した総選挙から1カ月が経つ。そうした中、カナダ西部では、保守派による「ウェイグジット(Wexit)」の動きが起きている。
ウェイグジットは「西部の州がカナダから離脱する」ことを意味し、イギリスの「ブレグジット(EU離脱)」にあやかったもの。中心となるのは、石油やガスなどの天然資源が豊富にあるアルバータ州とサスカチワン州。特にアルバータ州は、カナダの国内総生産(GDP)の17%を占める重要な州だ。
与党・自由党はいずれの州で1議席も獲得できず、保守党が全勝していた。
選挙では、自由党の勝利が世界に発信されたが、完勝ではなかった。自由党は第一党を維持したものの、議席を20減らし、最大野党・保守党は26議席伸ばした。得票率を見れば、保守党は34.4%を獲得し、自由党の33.1%を上回っていたほどだ。
ウェイグジットが起きるのも、保守党が優勢だったことに関係している。
環境政策が経済発展を阻害
保守派の不満は、景気状態が上向かないところにある。
特に、トルドー首相が進める地球温暖化対策により、「アルバータ州とサンカチワン州の経済発展が阻害されている」という不満がある。両州は、パイプラインを建設して、オイルサンド(石油成分を含む砂岩)由来の石油を世界に輸出したい。だが、首相が環境政策を進める手前、建設計画が思うように進まない状況だ。
ウェイグジットの動きが全国的に広がるとは限らない。行き過ぎた環境政策は、経済を低迷させ、新たな貧困問題をつくりかねない。
トルドー首相が進めるリベラル政策を軌道修正すべき時に来ている。
(山本慧)
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