マスコミが軽視する、日本維新の会の問題点 本当にマシな政党なのか?
2019.07.05
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《本記事のポイント》
- 日本維新の会には成長戦略がなく、デフレから脱却する具体策がない
- 靖国神社の国立化という仰天提案
- 橋下氏が提案する「沖縄に一国二制度の導入」という愚策
4日の参院選公示に先立ち、各党党首は3日、東京都内の日本記者クラブで党首討論会に臨んだ。
注目されているのは、「改憲勢力」が3分の2を超えるかどうか。自民党総裁の安倍晋三首相は、「日本維新の会にもお願いしたい。国民民主党の中にも憲法改正に前向きな方々がいる。そういう中で合意を形成していきたい」と発言。これに、日本維新の会(以下、維新)の松井一郎代表は「真正面から議論する」と応じた。
維新の議席に注目が集まっているが、同党にはさまざまな問題がある。
維新には「成長戦略がない」
維新は、目玉政策として「消費増税凍結」を訴えている。松井代表は報道各社のインタビューで、「10月の消費税の増税を凍結したい。いま増税しても、本当に必要なところにお金は回らない」と強調した。
確かに増税はすべきではないが、維新の致命的な問題点は「成長戦略がない」ことだ。同党は、規制や制度の改革には熱心だが、不況の原因であるデフレから脱却する具体策を持っていない。
公約には、「規制緩和による経済成長。停滞の30年から発展する未来へ」「農業・林業・水産業、医療・福祉、保育の成長産業化」などとあるだけで、日本を発展させる道筋が明記されていない。
本来なら、「増税をやめた上で、成長産業に投資し、国民の所得を上げる」のが筋だ。しかし、維新はそうしたビジョンを示していない。そのため、消費増税凍結も全体の中での位置づけが不明であり、「とりあえず増税をやめる」という印象がぬぐえない。
靖国神社を国立化する!?
また維新は、独自の公約として「(憲法)9条議論の前提として国立追悼施設の整備」を訴えている。
同党の浅田均政調会長は、「安倍さん(首相)が言っているように、自衛隊を9条に明記すると。また、PKOでもかなり危険なところに行く必要が出てきて、お亡くなりになる方が出てくるかもしれない」「9条を改正する前段として、戦死者に対する尊崇の念を抱かせるというのかな。そういう場所を整備することはまず前提だ」と説明。
具体的にどういう施設になるかは不明だが、大阪維新の会法律顧問の橋下徹氏が具体的に述べている。同氏は「A級戦犯分祀よりも、戦争指導者分祀の方が、さらに本来のあるべき姿。これをやるには靖国(神社)の国立化、そして政教分離違反にならないような憲法20条の改正が必要」とツイートし、靖国神社の国営化で天皇陛下の御親拝も可能にするという。
つまり、「自衛官が今後殉職するかもしれない。そのために国が靖国神社を運営し、追悼施設にする。そうすれば、天皇陛下が御親拝できる」というのだ。
自衛官が殉職した場合、その方の霊を弔う必要はあるだろう。だが、そのやり方として、国が靖国神社を管理するのはいかがなものか。神道の最高神官であられる陛下も、それを望んでいるとは思えない。
「中国と連携強化」という過ちを繰り返す
さらに外交・安全保障政策にも問題がある。
同党は公約に「北朝鮮の核・弾道ミサイル・拉致問題の解決に向け日米韓中の連携をさらに強化」と記している。
しかし、北朝鮮問題を解決するために、中国と連携を強化するのは、あまりにも現実離れした考えだ。これまで実施されてきた多国間協議は、まったく成果を得られず、北朝鮮による核開発の時間稼ぎとなった。その過ちを繰り返そうというのか。
「沖縄の一国二制度」という愚策
極めつけは、橋下氏が提案する「沖縄の一国二制度」の導入論だ。同氏は著書『沖縄問題、解決策はこれだ!』でこう述べている。
「沖縄に日本全体に適用される法制度とは異なる特別の法制度を認めてあげること、すなわち一国二制度を認めてあげることが近道です」
「沖縄はいまは、普天間基地の辺野古移設に様々な抵抗をしかけていますが、防戦一方です。防戦だけでは事態は開けません。やはり攻撃に反転しなければならない。『沖縄の独立』『沖縄の港を中国に貸すこと』を問う住民投票は、沖縄の反転攻勢のきっかけになるでしょう」
しかし、そのような国家を売るような行為は、善悪や正義にもとるのは明らかだ。沖縄の港を貸す相手は、自由主義の日本とは相いれない共産主義国家。日本に核ミサイルを向けている中国を利用して、日本政府を揺さぶるような、ごね得はあってはならない。
維新の経済政策は規制改革にとどまり、外交安全保障政策は現実離れしている。そうした政策は、大阪の自治の範囲であれば問題はなかったが、国政においては重要な問題だ。他にも、脱原発や同性婚を認めるなど、物議を醸す政策を掲げているが、維新の問題点にも目を向けるべきだろう。
(山本慧)
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