亀井氏が復興国債の日銀引き受けを提案、実現すれば「平成の高橋是清」だ。
2011.03.19
数十兆円にも及ぶと言われる復興資金の財源として、本欄が14日の段階で提案していた日銀引き受けによる「復興国債」の発行が取り沙汰されている。
18日付産経新聞では、編集委員の田村秀男氏の署名記事で、「復興国債100兆円の発行」を訴えている。記事では、1995年の阪神大震災の時に、国債を発行して財政出動に打って出た結果、94年に1.5%だった実質成長率が、95年に2.3%に、96年には2.9%に上昇したことを指摘。阪神大震災の経済損失は10兆円だったと言われるが、その後の2年間で21兆円も経済規模を拡大することができたという。
また、慶応大学教授の竹中平蔵氏も同日付同紙で、10兆円以上の対策費が必要で、その財源は国債増発で賄うべきだと主張する。
しかし、肝心の政府は、野田佳彦財務相や与謝野馨経済財政担当相が、18日の記者会見で日銀引き受けについて否定的なコメントを出した。枝野幸男官房長官も「政府では検討していない」と語っている。相変わらず危機意識が欠如している。
ひとり気をはくのが、国民新党の亀井静香代表だ。
亀井代表は、16日の段階で、自民党の谷垣貞一総裁が提唱する復興税構想を「とんでもない」と一蹴。その上で「国債の日銀引き受け」も検討すべきだと指摘。
13日にも菅直人首相に向けて、「事態は戦争状態」であるとし、①陸自、空自、海自の指揮系統の一元化、②空自ヘリによる救援物資の投下――などの緊急政策を打ち出していた。
危機対応に強い亀井代表ならではの真っ当な見解と言える。思い切った手を打てずに小出しの対応に終始する菅政権の執行部とは大きな違いだ。菅氏はその席を亀井代表に譲った方がいいかもしれない。
それにしても、今復興国債を日銀引き受けで発行し、大規模投資でこの苦境を脱することができれば、首相や財務相は「平成の高橋是清」として、歴史にその名を留めることができよう。しかし、現執行部はそのチャンスを自ら棒に振ろうとしている。(村)
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