東京新聞・望月記者と官邸の"バトル" 記者クラブの廃止こそ国民のためになる
2019.03.29
《本記事のポイント》
- 菅官房長官との“バトル"で有名になった東京新聞の記者
- 知る権利を守る集会が行われたが、それをするなら記者クラブの廃止が望ましい
- 政府は記者クラブを使って情報操作している
菅義偉官房長官との応酬によって、一躍有名となった東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者。同記者の著書『新聞記者』を原案とした映画が6月に公開されるなど、安倍政権に対抗する"勇気ある女性"としてもてはやされている。
騒動をおさらいすると、沖縄県辺野古基地問題の事実をめぐり、「東京新聞の特定の記者」が問題行為を行っているとして、官邸が「問題意識の共有」を求める文書を、記者クラブに送った。その後も、望月記者は菅官房長官に質問攻めを仕掛け、官房長官から「あなたに答える必要はない」と指摘され、騒動に発展。
ついには、新聞労連などが加盟する「日本マスコミ文化情報労組会議」が3月14日に、首相官邸前で集会を行い、知る権利や言論の自由を守ることを訴えた。
既得権益の「記者クラブ」が知る権利を阻害
官邸と新聞記者が対立するのは構わないが、それが国民の利益になるかどうかは別途考える必要がある。本当に国民の知る権利を守るのであれば、大手マスコミの既得権益になっている「記者クラブ」の廃止が望ましいだろう。
例えば、問題となった官房長官の定例会見は、原則として朝夕の2回開いている。しかし、フリーランスやネットメディアなどの記者が参加できるのは、原則金曜日の午後のみ。記者クラブに属する大手新聞社やテレビ局の記者が、情報を独占している状態にある。政府側も、記者クラブに情報を与えて"操作"し、世論を誘導してきた。
望月記者はその構図の中で、「記者としてのマナー違反」を繰り返しているために、官邸側は手を焼き、騒動に発展しているにすぎない。そうした既得権益の見直しには触れず、集会で「国民の知る権利や報道の自由を守れ!」と叫ばれても、空虚なかけ声に聞こえるだろう。
増税派のマスコミは進んで負担を受け入れるべき
新聞の論調が増税一色に染め上げられているのも、財務省の記者クラブの存在が大きい。マスコミは基本的に、財務省から提供される情報欲しさに、権力に盾突くことはない。またそれによって、新聞は、今秋に予定する消費増税の軽減税率の適用も勝ち得ることができた。
しかし本来、増税論を展開するのであれば、マスコミは進んで増税の負担を受け入れるべきではないか。それが言論を発する機関としての責任と言えるだろう。
政府とマスコミの「癒着」によって、国民は「情報統制」を強いられている。望月記者をもちあげることよりも、記者クラブの廃止によって、癒着を断ち切る方が、よっぽど国家国民のためになる。
ちなみに日本の報道の自由度は、世界で67位の「報道後進国」。やはり、マスコミ改革が必要だ。
(山本慧)
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