レーダー照射動画を元自衛隊パイロットが検証(最終回) そもそもなぜ照射した?
2019.02.16
防衛省公開動画より。
《本記事のポイント》
- 照射は現場のミス!?
- 照射は政府の指示!?
- 照射は「見てはいけないものがあった」から!?
【ザ・ファクト共同取材番組】
ザ・ファクトREPORTレーダー照射事件――韓国と北朝鮮が急接近!?韓国海軍は北朝鮮船と何をしていたのか
「レーダー照射問題」は、よく言って沈静化、悪く言ってうやむやになりつつある。
しかしこの問題は「朝鮮半島で何が起きているのか?」「日韓関係に何が起きようとしているのか?」を知る上で鍵となる。
いったい何が真実なのか? この問題をどう見るべきなのか? 複雑に絡み合う問題の本質を、元航空自衛隊パイロットの河田成治氏が解説する。
◆ ◆ ◆
河田 成治
プロフィール
(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。
低空威嚇飛行の事実もなく、火器管制レーダー照射をし、その場で無線にも応答せず、その後の政府の見解もぶれや嘘が散見される――。
こうした事実を見ていくと、次に気になってくるのが、「では韓国はなぜ火器管制レーダーを日本に向けたのか。そもそも、そこで何をしていたのか」ということです。
これについては、三つほど可能性が考えられます。
照射は現場のミス!?
一つ目は「現場のミス」説です。日本の政府関係者も一部、これを疑っています。
つまり、「軍艦のレーダー照射員が、誤って照射した。相手側にレーダー照射をすると、艦内にはシグナルや警報音が鳴ります。韓国側の艦長は、そこで初めて気づいた。しかし中でもみ消して、上部組織に報告しなかった。日本からの抗議が先に来て、韓国政府が『照射していない』と言っているうちに、振り上げたこぶしを降ろせなくなった」という説です。
しかし、映像を見ると、かなり長い間、レーダーを照射されています。現場のミスならば、艦長が止めるのではないでしょうか。そのため、この説は疑わしいと思います。
照射は政府の指示!?
二つ目は、「政府の関与」説です。
2013年、尖閣諸島沖で中国海軍が自衛隊の護衛艦にレーダー照射するという事件が起きました。その後、産経新聞のスクープで「中国共産党が指示をした」ことが分かりました。
韓国の文在寅政権の支持率は大きく下がっています。そこで、「内部の団結」を固めるために、徴用工や慰安婦の問題などと同じ文脈で、反日感情を高めるために利用された可能性はあります。
照射は「見てはいけないものがあった」から!?
三つ目は、「見られたくない何かをしていた」説です。
動画を見ると、韓国船は「北朝鮮のものではないか」という漁船を救助しています。しかし、なぜこのような小さな難破船を、韓国の大きな軍艦が出て来て救助しなければならないのでしょうか。そう考えると、現場では「単なる救助活動以上の何か」が行われていたのではないか、と勘ぐってしまいます。
例えば、「北朝鮮への支援」です
国連安保理では北朝鮮に対する制裁が行われており、韓国も義務を負っています。しかし、対北宥和政策をとる韓国がそれを破って様々な支援をしており、その一環として難破船の救助を代行していた可能性もあります。
今回の事件が日本海のどこで起きたかは公表されていませんが、一つの可能性としては大和堆です。
冬になると北朝鮮の漁船は、この海域に大量に繰り出してきます。現在、北朝鮮は経済的に苦しんでおり、漁民に動員命令がかかっています。
各船にはノルマが課せられているのですが、ノルマ以上に魚やイカを獲れば、その分は自分の収入になります。そのため皆が、無理して積載量以上に魚やイカを積んでしまう。
そもそも北朝鮮の漁船は「平底船」という、波の低い沿岸部のための船です。
そのため沖で難破してしまうというのは、よくあることです。北朝鮮側もこれを知っていたので、韓国側に救助を依頼しているというのは、あり得るでしょう。
その場合、韓国は北朝鮮船が日本の排他的経済水域(EEZ)内で違法な漁を行っていたのを知って救助していることにもなるので、見られたくなかった。だから日本の飛行機を追い払うために、レーダー照射をしたのかもしれません。
もちろん想像の域を出ませんが、そう勘ぐりたくなるほど、状況は不自然でした。(了)
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