レーダー照射動画を元自衛隊パイロットが解説(1) まず明白な4つの嘘
2019.02.14
《本記事のポイント》
- 韓国の嘘──「照射した・しない」と揺れる主張
- 韓国の嘘── 自衛隊動画で分かった「天気」「捜索」の嘘
- 韓国の"反論動画"にもボロ
【ザ・ファクト共同取材番組】
ザ・ファクトREPORTレーダー照射事件――韓国と北朝鮮が急接近!?韓国海軍は北朝鮮船と何をしていたのか
「レーダー照射問題」は、よく言って沈静化、悪く言ってうやむやになりつつある。
しかしこの問題は「朝鮮半島で何が起きているのか?」「日韓関係に何が起きようとしているのか?」を知る上で鍵となる。
いったい何が真実なのか? この問題をどう見るべきなのか? 複雑に絡み合う問題の本質を、元航空自衛隊パイロットの河田成治氏が解説する。全3回にわたって掲載する。
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河田 成治
プロフィール
(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。
私は航空自衛隊のパイロットとして700時間ほどフライトしました。
最も長かったのは新潟救難隊です。捜索機に乗って、まさに今回の事件の現場である日本海上空を飛んでいました。海上の偵察や海上保安庁の船に、それこそ"低空飛行"で近づいて通信訓練をするなどしていました。
レーダー照射とは「模擬攻撃」のこと
今回、日本中で話題になったのは「レーダー照射」という言葉です。何となく「危ない」という認識はあると思いますが、具体的にどのような行為なのでしょうか。
レーダーにもさまざまな種類があります。今回、大きく取り上げられたのは「火器管制レーダー」というものです。
これはミサイルや対空砲の狙いを定めるためのレーダー。それを照射したということは、いわゆるロックオン、つまり「銃口を向けていて、いつでも発射できて命中する予備動作」をしたということです。
実は2013年に、中国海軍が日本の護衛艦に同じことをしました。そこで、「CUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)」という国際規範が定められました。その中では、「シミュレーション・オブ・アタック」、つまり「『模擬攻撃』なので、厳に慎むべき」とされています。
この「火器管制レーダー」がどのように国際問題になっていったのでしょうか。同問題の経緯から、韓国側の主張が二転三転して、嘘も含まれているということが分かります。順を追って見ていきましょう。
韓国の嘘──「照射した・しない」と揺れる主張
海上自衛隊のP-1という哨戒機は、日本周辺で定期的に警戒監視パトロールを行っています。
それが2018年12月20日、日本海において、韓国の駆逐艦と警備救難艦、そして漁船を発見しました。この模様を詳しく調べるために近づいたところ、レーダー照射されました。
P-1哨戒機はその後、所属している厚木基地に帰り、詳しくレーダー分析ができる横須賀基地に直ちにデータを送ります。すると、「韓国駆逐艦の火器管制レーダーに間違いない」という結果が出ました。
そこで翌日の21日、防衛省が照射の事実を公表し、外務省が韓国側に抗議したのです。
これを受けて韓国側は「確かに『火器管制レーダー』の照射はした。しかしこれは、救助中の船を捜索するために使っただけだ」と反論します。
さらに韓国マスコミを通じて、「天気が悪かったので捜索用のレーダーだけではなく、全てのレーダーを使わなければいけなかったんだ」とも主張しました。
対する日本の防衛省は「そんなことはないだろう。普通の捜索レーダーと、火器管制レーダーは全く違う種類のものだ」として、レーダーが「火器管制」だったことを改めて公表しました。
すると韓国側は、言い分を変えてしまい、「そもそも一切のレーダー照射はなかった」と言い始めます。
韓国の嘘――自衛隊動画で分かった「天気」「捜索」の嘘
埒が明かないので、防衛省は韓国側と「実務者協議」を行いました。しかしそこでも意見は食い違い、まったく歩み寄りができなかった。しびれを切らした防衛省は、あの有名な動画を公開したのです。
この動画の中で、「韓国側の明確な嘘」が二つ明らかになってしまいました。
一つ目。韓国側は「天気が悪かった」と言っていましたが、当日は極めて天気が良く、霧なども出ていないことが分かりました。
天気が良かった現場。防衛省公開映像より。
二つ目。韓国側は「漁船を捜索するためにレーダーを使ったんだ」と言っていましたが、実際の映像では、すでに漁船を見つけており、救助用のボートまで出して、横付けしていたのです。
すでに漁船を発見し、救命ボードも出していた韓国側。防衛省公開映像より。
韓国の"反論動画"にもボロ
窮地に立たされた韓国側は、自国の主張を述べた動画を公開します。
しかしその中ではなんと、「『火器管制レーダー』ではなく『捜索レーダー』を使った」と、また主張を変えているのです。
捜索レーダーだけを使ったと主張する韓国「反論動画」。
さらに韓国は映像で、「証拠資料があれば実務者協議で提起すればいい」と訴えています。しかし、それをやろうといったのは日本側。韓国側がそれを拒否したという経緯がありました。
韓国「反論動画」より。
言っていることが完全に二転三転しているのですが、さらに韓国側は動画の中で、「むしろ日本の方が悪いのであって、P-1哨戒機が韓国船に『低空威嚇飛行』をしてきた。これに対して謝罪をしろ」という新たな主張をし始めました。
韓国「反論動画」より。
この時点で日本側は、「これ以上話し合っても無駄なので、冷却期間を置いて頭を冷やしてもらおう」ということで、いったん協議を打ち切っているというのが、現状です。
韓国主張に説得力はなし
少なくとも「照射」「天気」「捜索」「協議」などの点で、韓国側の主張に明確な嘘が散見されます。「レーダー照射の有無」や「低空威嚇飛行の有無」などまだ論争が続いているポイントはありますが、そうした主張そのものに、まず信頼性がありません。
(取材:ザ・リバティWeb企画部×ザ・ファクト取材班)
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2019年2月15日付本欄 レーダー照射動画を元自衛隊パイロットが検証(最終回) そもそもなぜ照射した?
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