スーパーボランティア・尾畠氏の生き方に感動する日本人の精神性
2018.08.18
《本記事のポイント》
- スーパーボランティア・尾畠さんの無私の生き方に日本中が感動
- 日本人は古くから「世のため人のために生きる」という考え方を持つ
- 「自分より他の人のために」という「奉仕の心」は今も受け継がれている
山口県周防大島町で行方不明になった藤本理稀(よしき)ちゃん(2)を発見した、捜索ボランティアの尾畠(おばた)春夫さん。その発言や生き方に日本中が感動している。
ボランティア歴約30年の尾畠さんは、2011年に発生した東日本大震災の被災地で「思い出探し隊」の隊長を務め、熊本大地震などでも活動した、いわば"スーパーボランティア"。山口に行く前も、6月は大阪北部地震、7月は西日本豪雨で被害を受けた広島県呉市で活動していたという。
尾畠さんが称賛される理由は、知恵を活かして、捜索開始からわずか20分で理稀ちゃんを探し当てたことだけではない。
理稀ちゃんの祖父からの「お風呂に入っていって」という申し出を断り、「ボランティアだから何も受け取らない」と話す姿がテレビに映し出され、その信念を貫く姿にネット上で称賛の声が相次いだ。
尾畠さんの信念は、「助けてやるではなく、手伝わせてくれますか」――。愛車に食糧や着替えなどの必要なものを積んで現地に赴き、食事は自炊。車で寝泊まりするなど「自立」を貫く。活動資金も年金から捻出しているという。
日本人に今も受け継がれる「奉仕の心」
尾畠さんへの称賛の背景には、「世のため人のために」という、古くからの日本人の精神性にあるのではないだろうか。
戦前の教育からも、その一端をうかがい知ることができる。戦前、学校の行事などでたびたび奉読された教育勅語は、明治天皇が国民に語りかける形で書かれた「国民の道徳」のようなものだった。その中には「他人に博愛の手を差し伸べ」「徳と才能を磨き上げ、すすんで公益や世間のために尽力し」(現代語訳)などの言葉が並んでいる。
他の人のためにすすんで手を差し伸べ、協力することは非常に大切と教えられていた日本人。その精神は現代でも消えていないようだ。
東日本大震災などでも、ボランティアの方が「何か困っていることはありませんか?」と被災者に尋ねると、ほとんどの人が「私たちは大丈夫。あっちにもっと大変な人がいるから行ってあげて」と答えるという。自分たちが不幸な状況にありながら、他人を気遣える国民性は世界でも珍しい。
世のため人のために何かしたいという「奉仕の心」は、今も脈々と受け継がれている。尾畠さんが称賛される理由は、日本人の本質ともいえる精神を体現しているからだろう。
(駒井春香)
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