【終戦の日に読む英霊列伝】台湾先住民からなる、最強の「高砂義勇隊」(7/17付記事より)
2018.08.16
(画像は Wikipedia より)
平成最後の「終戦の日」となった。本欄では英霊に感謝を捧げるべく、過去に掲載した「英霊列伝」を再掲する。
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統治時代に台湾を近代化させた日本
日清戦争に勝利した日本は1895年、下関講和条約によって、清国より台湾の割譲を受けます。これによって台湾は日本の統治下に入りました。
歴史をひもとくと、台湾には古代から先住民が暮らしていましたが、1624年のオランダからの侵略を皮切りに、圧政と搾取の歴史が続いていました。
日本に割譲された当時、台湾は清朝政府から「中華文明の及ばない、風土病の地」と呼ばれ、見捨てられていました。衛生環境が悪く、伝染病が広がりやすい気候風土の中、多くの人が病気に命を奪われていたのです。
統治を始めた日本はすぐに衛生環境を整備し、風土病の撲滅に力を入れます。同時に巨額の資金を投じて教育や就労環境を整え、インフラ整備を行い、台湾を近代化させたのです。
大東亜戦争勃発後は、戦線の拡大とともに、1942年に施行された陸軍特別志願兵制度により、台湾人にも軍人の門戸が開かれます。
日本に恩義を感じていた台湾の青年たちは、志願を許されたことを最高の喜びと思ったといいます。「自分たちも日本兵として、内地の日本人と一緒に戦い、祖国を守るんだ!」と、応募が殺到。約1千人の募集に対し、40万人もの熱烈な志願がありました。
高い倍率の中から選ばれた青年たちは日本に渡り、軍の学校などで厳しい訓練を積み、軍人として各地に配属されていったのです。
日本軍最強とも呼ばれた台湾の先住民による高砂義勇隊
台湾出身の日本兵の中でも、特に多大なる貢献をした「高砂義勇隊」と呼ばれる先住民志願兵たちがいます。
「高砂族」は、アミ族やタイヤル族など9つの台湾の先住民の総称です。彼らは主に山地や台湾東部に暮らすため、ジャングルでのサバイバル法を熟知していました。目や耳がよく、脚も強く、天才的な勘を持ち、一度見た山の形は忘れなかったといいます。
マレー・ポリネシアン系の言語も話すため、フィリピンやボルネオ、ニューギニアなどの南方戦線で、通訳としても活躍。彼らのおかげで、現地の部族と友好関係を結ぶこともできたのです。
先祖伝来の「蕃刀(ばんとう)」でジャングルを切り開き、果敢に敵に向かっていく彼らは、数々の戦線で大活躍します。彼らの働きに感謝し、尊敬する日本兵も多く、ニューギニアのブナにおける戦闘では、作戦を指揮した山本重省陸軍大佐が、高砂義勇隊の戦いぶりに感謝を込めた遺書を遺して玉砕しています。
義勇隊員が見せた大和魂 今も台湾に息づく「日本精神」
日本軍最強とも呼ばれた高砂義勇隊ですが、ただ戦闘能力に優れていただけではありませんでした。
日本兵としての誇りを持ち、仲間思いで、使命に忠実だった彼らには、確かに大和魂が宿っていました。1943年の毎日新聞に、「ニューギニアからの便」として、福湯海軍報道班員が綴った記事からも、それを感じることができます。概要を以下に掲載します。
ニューギニアの戦場でカメラマンとともに道に迷った福湯氏は、4人の日本兵が駐屯しているテントに導かれます。食料不足で困っている兵隊たちに、福湯氏たちは持っていたおにぎりを差し出しました。
「おお、白い握り飯!」と、兵隊たちが宝物を拝むように口に運ぼうとした瞬間、その中の一人が急に立ち上がり、そばに建てられた粗末な墓に向かいます。そして墓前におにぎりを供え、「俺にはこの握り飯は食えない」と慟哭したのです。
別の兵隊が、この墓には高砂義勇隊員が眠っていると説明しました。食料のない日が何日も続き、その義勇隊員は、ずっと後方の兵站基地まで食料を取りに向かいました。ところが何日経っても戻らず、探したところ、彼は遺体で発見されました。50キロの米を担いだまま、ジャングルの中で飢え死にしていたのです。
話しながら、兵隊の眼には涙があふれていたと、福湯氏は記しています。
飢餓状態にありながら、背中の米には手をつけず、一刻も早く戦友に食料を運ぼうとする――。仲間を助けることは、日本を守ると言う大義につながると、その義勇隊員は悟っていたのでしょう。己の命を顧みないその働きは、大和魂そのものといえます。高砂義勇隊は、大東亜戦争において、紛れもなく「日本兵」だったのです。
当時の話を聞かれた、ある元高砂義勇隊員は、「心から日本を愛し、日本のために戦った。今も日本人の誇りを持ち続けている」と語っています。
台湾出身の元軍人や、日本統治時代を知る人たちは、戦後も「日本精神(リップンチェンシン)」を持ち続けているといいます。責任感や勤勉さ、公正さ、規律、愛国心など、戦前の日本人が持っていた高貴な精神のことを指すそうです。
日本の先人たちの誠実な生き方は、「日本精神」として、今も台湾に伝わっています。今こそ、脈々と受け継がれている日本人としての精神を、見つめ直すときかもしれません。
(駒井春香)
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