スター・ウォーズ新作公開 フォースの正体は『武士道』に書いてある

2017.12.15

《本記事のポイント》

  • スター・ウォーズの物語は日本や東洋の世界観が入っている
  • ジェダイの神秘思想は『武士道』にも書かれている
  • その教えは、現実の悩み解決のヒントにもなる

シリーズ8作目となる「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」が15日、全国で公開される。

世界中を魅了し続けてきた「スター・ウォーズ」シリーズ。その生みの親であるジョージ・ルーカスが、映画の世界観を生み出すにあたって、日本の世界観を取り入れたことは有名だ。

例えば、戦士「ジェダイ」は、「時代(じだい)劇」から来ている。その服装も、剣道着や柔道着を彷彿とさせる。悪役「ダース・ベーダー」のマスクも、武士の兜そのもの。

「ハン・ソロ」の名前は、「服部半蔵(はっとり・はんぞう)」、ジェダイで最も優れた指導者である「ヨーダ」の由来にいたっては、日本人の「依田(よだ)さん」だというから驚きだ。

仏教の影響も強い。エピソード1~3のヒロイン「パドメ・アミダラ」の名前は、仏教の観音菩薩に祈りを捧げる際に使う、サンスクリッド語の真言「オン・マニ・パドメ・フーン」と、阿弥陀如来の真言である「オン・アミダラ・フーン」から来ている。

しかし、本当に注目すべきは、ストーリーの中心テーマに、日本や東洋的な思想があるということ。その内容は、100年以上前、新渡戸稲造によって著された『武士道』にも書かれているのだ。

物語のテーマは「執着と恐怖の克服」

それは、物語を貫く「執着(愛着)と恐怖の克服」というテーマだ。

エピソード1~3は、母親思いの子供であったアナキン・スカイウォーカーが、この「執着と恐怖」に負けたことで、「ダース・ベーダー」に成り果てる様を描いた物語だ。

主人公のアナキン・スカイウォーカーは、ジェダイになるための修行をすべく、母に別れを告げて、遠い星を訪れる。そこで、ジェダイのマスター(師匠)たちに問いかけられた以下の言葉が、その将来を予見する。

ヨーダ :怖いか?

アナキン:いいえ。

ヨーダ :おぬしの心が透けて見えるぞ、われわれにはな。

メイス :自分の感情には注意を払うことだ。

ムンディ:おまえさんは母への思いが強いようだ。

アナキン:母さんに会いたいんです。

ヨーダ :母を失うのが怖いのじゃな? どうじゃ?

アナキン:そんなこと関係ないでしょ!

ヨーダ :大ありじゃ。恐れはダークサイドへの道じゃ。

恐れは怒りへ、怒りは憎しみへ、憎しみは……苦しみへと通じる。

おぬしからは大いなる恐れを感じるぞ。

(訳は『ジェダイの哲学』より)

この"注意を払わなかった"ところの「執着(愛着)と恐怖」が、物語を動かしていく。

ある時、成長したアナキンは「母が死ぬ」という夢を見る。母を助けるため、急ぎ、生まれた惑星に帰るが、母は盗賊にさらわれており、目の前で息絶えてしまった。彼は怒りのあまり、盗賊の一族をライトセーバーで皆殺しにする。

その後、アナキンは最愛の妻をも失う夢に苦しむ。母の時にも、夢が現実化した――。そのことをヨーダに相談すると、このような"突き放した"言葉が返ってくる。

ヨーダ:死は生きることの一部じゃ。

身近な者たちがフォースと一体となるのを祝福することじゃ。

嘆き悲しむでない。寂しがるでない。

執着は嫉妬へと通じる。欲望の影じゃ、それはな。

自分が失いたくないと思うすべてのものを、手放す訓練をするのじゃ。

(訳は『ジェダイの哲学』よ)

しかしアナキンは、その"神秘的"なアドバイスを受け入れることができなかった。

彼は、最愛の妻を失うことへの恐怖を抑えられず、怒りといったマイナスの感情をエネルギー源とする勢力、「ダークサイド」に堕ち、「ダース・ベーダー」となってしまうのだ。

そして、そんなアナキンを咎める妻にも怒りをぶつけ、結局、それがきっかけで、自ら妻を死なせてしまう。まさに、愛着と恐怖に身を焦がし、その恐怖を引き寄せてしまった。

エピソード4~6は、そんなアナキンの息子であるルーク・スカイウォーカーが、「ダース・ベーダーと戦う恐怖」「愛する妹を失うことへの恐怖」などと戦い、最後に克服することで、悪の存在を倒す様を描いた物語だ。

『武士道』の記述がまるでヨーダの台詞!?

こうした「愛着から生まれる苦しみ」「未来への恐怖から生まれる苦しみ」を克服することを説いたのが、まさに仏教だった。

そしてその教えを、ジェダイならぬ、侍の哲学として取り入れたものが、日本の武士道だったのだ。

新渡戸稲造が1900年にアメリカで発刊した『武士道』には、ジェダイの哲学さながらのことが書かれている。

「仏教は武士道に運命を穏やかに受け入れ、運命に静かに従う心をあたえた。

それは危機や惨禍に際して、常に心を平静に保つことであり、生に執着せず、死と親しむことであった。

(中略)

その方法は座禅と瞑想であり、その目的は私の理解するかぎりで言えば、あらゆる現象の根底にある原理について、究極においては『絶対』そのものを悟り、その『絶対』と自分を調和させることである」

「絶対」を「フォース」と言いかえると、まるでヨーダの言葉に聞こえる。

「仮に命を失っても、それが運命だったのだ」と受け入れ、感情の揺れを克服する――。その「潔さ」が、戦いにおける冷静さや、名誉ある散り方につながる。この心境になるには、仏教の「死後の世界」「仏」「カルマ」といった、神秘的な世界観が必要だった。「絶対」とは、そうしたものを指すのだろう。

もちろん、「命を失いたくない」という思いは、克服すべき執着や恐怖の事例としては極端だ。しかし、「大事なものを失うという運命の前に、心を失わない」ことは、まさにアナキンが問われていたものであった。

そうした感情を克服するために、ジェダイたちは、「フォースという、宇宙のあらゆる生命を育む何かが、人の運命も決めている」という真理を重視していた。

スター・ウォーズには日本人の普遍の哲学が隠れている

つまり、ジェダイたちが語っている哲学の多くは、「映画用に創作された架空の神秘主義」ではない。日本人が実際に指針にしてきた仏教や武士道において語られてきたものでもあるのだ。

そうなると、これらの考え方は、「ダークサイドから身を守り、銀河を救う」わけでなくとも、私たちの日々の悩みに対処するヒントにもなるということだ。

アナキンが苦しんだように、人生においては、家庭、仕事、人間関係、健康などの面で、「不満」「不遇」「理不尽」「残酷な運命」というものは尽きない。そうした中で人は、感情的になったり、焦りや怒りのままに行動して、さらに身を滅ぼすことが多いのが現実だ。そんな中で、少し神秘的な世界観に思いを馳せてみることが、苦しみを解消する糸口につながる――。

それはいったい、どういうことかを、大川隆法・幸福の科学総裁が、以下の法話で語っている。是非、自身の今の悩みに当てはめながら、参照されることをおすすめしたい。(馬場光太郎)

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タグ: ダークサイド  ジェダイ  恐怖  武士道  スター・ウォーズ 

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