食糧支援を求める北朝鮮の事情
2011.02.24
北朝鮮ニュースが最近重点を置く国際ニュースは、食糧価格の世界的高騰だそうだ。
北朝鮮が、穀物価格が高騰するのを強調する理由は何か。
2月22日付ワシントン・ポスト紙が報じるところによれば、北朝鮮が食糧支援を各国に頼んでいるという。米国は2年前に食糧支援を停止したが、今回も再開する見込みはないと米国務次官補カート・キャンベル(東アジア担当)は述べている。理由は透明性の問題からだ。北朝鮮では、1990年代の初めから半ばにかけて、約100万人が飢餓で亡くなっている。外国の援助団体は、15年間で20億円以上を投入しつつも、4人に1人の妊婦が栄養不足で3人に1人の子供たちが発育不全の状態にある。
流用率は調査機関によって違うが、食糧支援物資の約10~50%が軍部や上流階級にプレゼントされたり、市場で再販売されているという。亡命した元北朝鮮の高官によれば、軍部が配布された米を一軒一軒回収してまわることもあるという。透明性を高めようとしても、査察の7日前に知らせなければならず、透明性は一向に高まらない。
この冬は、60年で一番の寒さだといわれる。国連世界食糧計画は、来月同国の食糧事情の査定を完了する。各国政府はこの結果を受けて対応する見込みだが、2400万人の国民が飢えているのは間違いない。
先日も、朝鮮労働党は120万人いる軍人向けの食糧を全国から募ったばかりだ。
新ミサイル基地の発射台からミサイル発射の可能性も指摘されるが、軍部と体制支持者が飢えていては、国威掲揚にすらならないことを知るべきだろう。(HC)
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