マレーシア航空370便で最終報告書「見つからなかった」真相が未解明のまま幕引きか
2017.10.05
Ryan Fletcher / Shutterstock.com
《本記事のポイント》
- 370便を捜索していたオーストラリア運輸安全局は、未解明のまま最終報告書を発表。
- 8月には、同便の残骸をマダガスカルで捜索していたマレーシア領事が暗殺される事件も。
- 同便の行方不明に責任のある政府や関連企業は、情報を公開し真実を明らかにすべきだ。
乗客乗員239人を乗せたクアラルンプール発北京行きマレーシア航空機370便が2014年3月に消息を絶ってから、3年半が経過した。
捜索を主導したインド洋の捜索対象の北側約2万5千平方キロに墜落した可能性を強調した上で、結果的に同機を発見することはできなかったとする最終報告書を発表した。
同局は、いまだに同機に何が起きたのか未解明であることについて「毎日1千万人が商用機に乗る時代に、機体と搭乗者がどうなったか分からないのは、ほとんど想像を超えており、社会的に受け入れられない」と指摘している。
2017年1月に同機の捜索は打ち切られ、新たな証拠が出てこない限り、「航空史上最大のミステリー」は未解明のまま幕引きとなる。捜索の打ち切りの後も、乗客の家族らは民間企業などと協力して捜索を続ける意志を表明している。
この行方不明事件が起きた後のマレーシア政府やマレーシア航空の対応には、さまざまな不可解な点があった。本誌2017年6月号特集「マレーシア航空370便 謎の行方不明から3年 誰が何を隠しているのか」では、この航空史上最大のスキャンダルに迫った。
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本誌2017年6月号(ウェブ短縮版)マレーシア航空370便 謎の行方不明から3年 誰が何を隠しているのか
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その要点を言うと、「370便はハイジャックか機長の問題で正規の航路を外れ、南インド洋に飛行を続け、そこで墜落した」というマレーシア政府が発表した内容には説得的な根拠がなく、同便は機体に不具合が起き、消息不明になった地点である南シナ海に墜落した可能性が高いということだ。
機体の残骸収集のマレーシア外交官が暗殺
2017年8月末には、370便の残骸を集め、調査していたマレーシアの駐マダガスカル名誉領事が、同国の首都アンタナナリボで暗殺されるという事件も起きている。
英紙デーリー・メールの9月1日付報道によると、暗殺された領事と同じく370便の残骸の収集活動を行っていたアメリカの弁護士は「領事はマダガスカルで同便の残骸を集め、現地で見つかった残骸をマレーシアに送る任務を負っていた。領事は新たに見つかった残骸をマレーシアの調査員に渡そうとした際に暗殺された」と語っている。不可解なことばかり起こる370便の行方不明事件の真相は、未だに大きな闇に包まれている。
マレーシア当局の中には、同便が行方不明になった真相を知っている人がいるとみられるが、いまだに遺族などが求める情報公開に応じていない。239人の犠牲者とその遺族のためにも、航空史に同様の悲劇を繰り返さないためにも、責任のある政府や関連企業は事故に誠実に向き合い、真実を明らかにすべきだ。
(小林真由美)
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2017年6月号 (Web短縮版)マレーシア航空370便 謎の行方不明から3年 誰が何を隠しているのか
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2017年3月8日付本欄 マレーシア航空機MH370便が行方不明になって3年 世界中で「本当の墜落場所は南シナ海」説
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