「党ファースト」よりも「地域ファースト」―上田てつじ【都議選・もっと身近な東京問題】
2017.06.20
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町田市代表
上田 てつじ
(うえだ・てつじ)1959年大阪府生まれ。夕陽丘高等学校卒。税務署、大蔵省(現・財務省)主計局勤務などを経て、現職。常勤監査役や経営管理業務などにも従事。
筆者は大蔵省の主計局で、予算を担当していた。本会議、予算委員会の答弁書の作成業務にも従事していた。
当然、それが読み上げられる国会の様子を見ていたわけだが、どうしても気になることがあった。予算書は一般会計で1000ページ、特別会計で500ページほどあるが、それを国会議員のほとんどが持っていないし、読んできた様子もないということだった。
要するに、各予算案について、自分が十分に納得した上で賛成したり、反対したりしているわけではないということ。賛成・反対は、所属する党の方針に従っているだけなのだ。
その最たるものが、「森友問題」「加計問題」などの議論だ。
野党側の議員も、党の「森友問題で与党を責める」というスタンスに右へ習え。平成29年度の予算は結局、十分に中身が審議されないまま成立してしまった。
やはり議員は、予算や政策の中身を勉強して、自分が納得した上で賛否を示して欲しいと、長い間感じていた。
地方自治は地域のニーズを捉えるべき
国会ならまだ、国全体の税制や外交・国防など国論を二分するような議論を、党に従ってするのは分かる。
しかし、地方自治体ではそうであってはいけない。地方議員の仕事というのは基本的に、地域の皆様の声を聞いて、それを行政サービスに反映させることにある。もちろん党の方針はあっていいのだけれど、党勢争いで物事を決めるのではなく、様々な地域の実情を知った議員が、個人個人として意見を主張しあうことが必要になる。
特に、マスコミ受けのしやすい争点に関して、「人が変わったら、前の知事の判断を全てひっくりかえす」「既存の勢力の政治を全て否定する」ようなことをするのは、時間の無駄になってしまう。
そういう意味で、小池人気に便乗して、合唱連唱している議員たちの姿も、都民ファーストには見えてこない。
町田に必要な交通革命
例えば筆者が主に活動している町田市は、人口が今も増え続けている。毎年毎年、交通事情が厳しくなり、渋滞も解消しない。特に、市の南北を結ぶアクセスが大きな改革課題となっており、特に都心に向かう電車が非常に混雑している。
小田急さんなどは、複線化を進めて、スムーズに都心に出られるように工夫などをされているが、地上を走っているので、「開かずの踏み切り」になってしまう。そこをどう解消するか……など、課題は尽きない。
また、町田市の特徴として、市境のほとんどが、神奈川県との県境になっている。交通革命は県を越えて取り組まなければならず、町田市だけでは実現できないことも多い。やはり都政が、他の県とも調整をしながらやらなければいけないことが山積している。
もっと地域の課題に向き合う都政を
都議選が、「都民ファースト+公明党」と「自民党」の、党勢争いになってしまっている。
その争点も、豊洲問題や都議会改革など、政党同士の"一騎打ち"を象徴するようなものばかり。よく言えば、都民全員で考えられるテーマかもしれないが、悪く言えば各地域の個別の課題は置き去りにされがちだ。
そんな「党」ありきの都政ではなく、各地域の議員「個人」が、地域の課題に向き合うことが求められているのではないか。
【関連サイト】
幸福実現党 東京都議選 特設ページ
https://hr-party.jp/senkyo/2017togisen/
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2017年6月14日付本欄 豊洲問題、いったいなんだったの?――表なつこ氏【都議選・もっと身近な東京問題】
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