北朝鮮情勢の裏で、密かに国産空母を進水させた中国の狙い

2017.05.01

《本記事のポイント》

  • 緊迫する情勢下、中国が静かに国産空母を進水させた
  • 中国の「北朝鮮制裁」も、北朝鮮を"守る"ため!?
  • 密かに「矛(空母)」を増やし、笑顔で「盾(北朝鮮)」を守る中国

トランプ米大統領は、ロイター通信のインタビューに答え、習近平・中国国家主席を「友人であり優れた指導者だ」「北朝鮮問題の解決に力を尽くしてくれている」と評価している。

実際に習近平氏は、トランプ米大統領と会談した後、北朝鮮の石炭船を送り返すなど、具体的な行動も示している。米中貿易の不均衡を指摘されるのを恐れているとはいえ、アメリカに協調しようとする姿勢は目立つ。

静かに進水した「国産空母」

しかし、中国は「覇権を拡大し、アジアからアメリカを追い出す」という「中国の夢」に向け、着々と布石を打っている。

4月26日には、中国初の国産空母が進水した。念願の空母完成だが、進水式は静かに行われた。国際社会を刺激しないよう配慮したとみられる。

中国にとって、今回は2隻目の空母保有となるが、空母建造はこれだけでは終わらないだろう。

中国の軍事専門家の尹卓氏(海軍少将)は、かつて中国中央テレビにこう語っている。

「国家の安全と利益のために、重要な太平洋、南シナ海からインド洋にかけての海域で、それぞれ2つの空母打撃群が必要であり、将来的には5、6隻の空母が要る」

米ウォールストリートジャーナル(4月27日付)でも、多くの専門家が、向こう10年間で、中国はさらに5隻の建造を行うとの予想を示した。

空母は、いうなれば「海の上を移動する飛行場」。空母周辺の海域に対し、制海権や制空権を握れる。同領域に空母を常時展開できれば、まるでその領域に軍事基地を置いているかのような影響力を及ぼすことも可能になる。

空母を常時展開するには、修理や訓練などを想定して、少なくとも3、4隻は必要となる。そのために中国は現在、上海郊外で3隻目の空母を建造しているという。環球時報によると「建造中の3隻目は、(より多くの艦載機を飛行甲板に待機させることができる)カタパルトが採用される可能性がある」とのことだ。

「北朝鮮制裁」も北朝鮮を"守る"ため!?

アメリカへの協調姿勢も、覇権戦略の一部と言える。

岸田外相は28日、王毅・中国外相へ北朝鮮制裁の協力を依頼し、中国の役割が極めて重要と期待感を示している。

しかし、制裁に協力することで、アメリカに軍事攻撃を思い止まらせ、穏便に事を済ませようする中国は、北朝鮮の延命を狙っているようにも見える。北朝鮮が崩壊し、アメリカの影響力が強い韓国と隣接することを避けるためだ。

日本でも、「話し合いで解決を」と主張する人は多いが、まさにそれは中国の望みでもある。

空母という「矛」を静かに進水させつつも、アメリカに微笑みながら北朝鮮という「盾」を守ろうとする――。緊迫する情勢の裏にある、中国のしたたかな動きにも、目を向けなければならない。

(HS政経塾 山本慈)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『危機の中の北朝鮮 金正恩の守護霊霊言』 大川隆法著

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