北朝鮮への「敵基地攻撃能力」に反対してきた“平和”な社説を読み返す
2017.04.15
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《本記事のポイント》
- 今になり実感する「敵基地攻撃能力」の意味
- 「平和国家」「軍拡競争を招くな」の議論が招いた現実
- 公明党への"配慮"も攻撃能力を遅らせた
トランプ米大統領が、北朝鮮への軍事行動に踏み切る意志を示している。
北朝鮮が次に核実験などの挑発行動に出た場合、アメリカは朝鮮半島近海に展開させている原子力空母などで北朝鮮を先制攻撃できる準備を整えている。
今になり実感する「敵基地攻撃能力」の意味
その時に恐れられているのが、日本が北朝鮮の反撃対象になることだ。
もし、複数のミサイルが日本に向けて打ち込まれた場合、今あるイージス艦やPAC3だけでは撃ち落とせない確率も高い。この防衛体制の危うさを、情勢がここまで緊迫して、ようやく実感する人も多いだろう。
そうなると、今まで"過激な案"として片づけられてきた「敵基地攻撃能力」の必要性も身にしみる。撃たれてから撃ち落とすのではなく、撃たれる兆候があった段階でミサイル基地などを叩けば、日本に着弾するリスクは一気に減る。ここへ来て、メディアにおいても「敵基地攻撃能力」に関する議論がにわかに増え、安倍晋三首相もその必要性を国会で強調し始めた。
しかし現状、敵基地を攻撃する装備を日本は持っていない。もう少し前から準備しておけば、日本人は今頃、もっと安心できていたかもしれない……。
この議論自体は、以前からなされてきた。しかし、一部メディアや政党は根強く反対し、実際の防衛能力には反映されなかった。
今、この緊張感の中で、彼らの言説を読み直した時、どう見えるだろうか。
「平和国家」「軍拡競争を招くな」の議論が招いた現実
2009年に北朝鮮がミサイルを撃った時、国会で「敵地攻撃能力」の保有が議論された。
その時、毎日新聞は以下のような社説を掲載している。
「専守防衛は、日本が戦前の反省に基づいて平和国家の道を歩むことを対外的に明確にする役割を果たしてきた。この見直しにあたっては、特に近隣諸国との外交に及ぼす影響について精査しなければならない。(中略)軍拡競争を生むという『安全保障のジレンマ』を引き起こす懸念がある」(2009年6月1日付毎日新聞)
この議論を今、振り返ってみてどうだろう。
いかに「平和国家」を謳っても、「敵基地攻撃能力」を持たない日本では、現に国民がミサイルの恐怖に脅えている。
「軍拡競争を生む」という議論にしても、日本が何もしなくても北朝鮮は"自分のペース"で核開発・ミサイル開発を進めてきた。
その後、政権交代で「友愛外交」を掲げる民主党に変わり、「敵地攻撃能力」の議論は立ち消えてしまった。
公明党への"配慮"も攻撃能力を遅らせた
2013年、政権を奪回した自民党が再び「敵基地攻撃能力」を検討した。その時も左派メディアは社説などで"警告"を発し、足を引っ張った。
「かえって地域の不安を高め、軍拡競争を招くことにならないか。そんな危惧を抱かざるを得ない」(2013年5月22日付朝日新聞)
「攻撃前に敵の基地をたたくことは『専守防衛を逸脱した先制攻撃ではないか』との疑念が残る。(中略)その結果、地域の軍拡競争を招く可能性もある」(2013年7月27日付毎日新聞)
この時、政府は防衛大綱に「敵基地攻撃能力の保有」を明記することを断念した。強硬に反対した連立与党の公明党への配慮のためだ。振り返ると、連立の代償も大きかった。
平和国家の道を力説する日本の「平和勢力」が、本当に日本の平和と安全につながってきたのか、検証すべき時が来ている。
(HS政経塾 野村昌央)
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