図解で分かる"尖閣有事"の今 中国海保の"軍拡"で一触即発状態が続く
2016.08.23
Hung Chung Chih / Shutterstock.com
日本の海が大荒れだ――。
中国はここ最近、日本の領海である沖縄県・尖閣諸島沖に大量の公船を派遣し、日本側を圧迫している。度重なる中国船の接続水域への侵入に対し、宮古島市議会はこのほど、抗議の決議案を全会一致で採択した。
毎日のように報じられている尖閣諸島の緊張状態。本欄では、その今を図解で伝える。
中国は継続的に"領海侵入"
海上保安庁の資料を基に編集部作成
2012年9月より、中国側の動きが活発化していることが分かる。当時は、日本政府が尖閣諸島を国有化したことで、反日デモが続発していた時期に当たる。
これを見ると、日本の尖閣国有化が原因かとも思うが、中国は1992年に、一方的に尖閣諸島を領有化(領海及び接続水域法を制定)するなど、もともとは中国側に問題がある。
中国は「武装公船」を相次いで投入
外務省資料より
例えば、2000トン級の「海警31239」(画像右下隅)は、37mm連装機関砲を4門搭載していると見られ、ヘリコプターを離着陸させる能力を持つ。これほど「重武装」である理由は、もともと中国人民解放軍の軍艦だったためだ。つまり、中国海警局(中国の海上保安庁)の船舶は、海軍の武装で強化されていると言える。
中国海保は"軍拡"まっしぐら
外務省資料を基に編集部作成
"領海侵入"がほとんどなかった2012年時点では、1000トンを超える中国の大型公船の隻数は、40隻だったものの、3年後には、その3倍の120隻にまで増加。19年には、135隻まで増強されると推定されている。
日本は2週間で30回以上抗議するも……
こうした事態に対し、日本は、中国に対して度々抗議を行っている(下表)。
8月5日(金)
15:05 頃 アジア大洋州局参事官 → 在京大公使参事官
16:30 頃 アジア大洋州局参事官 → 在京大公使参事官
17:10 頃 杉山外務事務次官 → 程永華駐日大使
17:30 頃 伊藤在中国大次席公使 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
8月6日(土)
11:45 頃 金杉アジア大洋州局長 → 郭燕・在京大公使
13:15 頃 横井駐中国大使 → 孔鉉佑・外交部部長助理
18:00 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
18:15 頃 金杉アジア大洋州局長 → 郭燕・在京大公使
8月7日(日)
08:29 頃 金杉アジア大洋州局長 → 郭燕・在京大公使
10:15 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
11:25 頃 杉山外務事務次官 → 程永華大使
13:25 頃 横井大使 → 孔鉉佑・外交部部長助理
14:00 頃 滝崎アジア大洋州局審議官 → 郭燕・在京大公使
17:00 頃 杉山外務事務次官 → 程永華大使
20:10 頃 石兼総合外交政策局長 → 郭燕・在京大公使
21:20 頃 石兼総合外交政策局長 → 郭燕・在京大公使
22:10 頃 横井大使 → 孔鉉佑・外交部部長助理
23:15 頃 金杉アジア大洋州局長 → 郭燕・在京大公使
8月8日(月)
12:45 頃 金杉アジア大洋州局長 → 郭燕・在京大公使
16:00 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
19:30 頃 金杉アジア大洋州局長 → 郭燕・在京大公使
21:10 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
8月9日(火)
10:10 頃 岸田外務大臣 → 程永華大使
11:10 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
13:50 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
14:15 頃 四方アジア大洋州局参事官 → 郭燕・在京公使
16:40 頃 滝崎アジア大洋州局審議官 → 郭燕・在京公使
17:37 頃 四方アジア大洋州局参事官 → 郭燕・在京公使
18:15 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
8月10日(水)
11:19 頃 金杉アジア大洋州局長 → 郭燕・在京公使
21:30 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
8月17日(水)
11:13 頃 金杉アジア大洋州局長 → 郭燕・在京公使
11:30 頃 伊藤次席 → 欧陽玉靖・外交部辺境海洋事務司長
外務省資料を基に編集部作成
では、日本は具体的にどのような抗議を行っているのか(下表)。
画像はTK Kurikawa / Shutterstock.com
岸田文雄外相が8月9日に、上記のポイントを踏まえ、中国大使に直接抗議をするも、中国側の挑発的な行為はやむことはなかった。話し合いが通じるような相手ではないことがよく分かる。
尖閣諸島周辺は、一触即発の状況が続いている。その緊張関係は近年、エスカレートしており、日本はアメリカの力を借りずとも、自国領を守り切る能力と覚悟が問われている。
(山本慧)
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